では、この「アミノ酸液」とはいったい何でしょう?
しょうゆの製造に、なぜ「塩酸」が使われるのか?
しょうゆのうま味の素は「アミノ酸」です。本醸造方式では麹から作られる酵素が大豆や小麦のたんぱく質を発酵させることで、ゆっくりアミノ酸に変えていきます。
しかし、そんな手間をかけて発酵させなくても、「大豆のタンパク質から『アミノ酸』さえ作り出せば、しょうゆのベースができる」という発想から生まれたのが「アミノ酸液」です。
脱脂大豆を、塩酸を使って分解させると、手っ取り早く「アミノ酸」を取り出すことができるのです。
「塩酸なんて劇物を食品に使うのか」と驚かれる人もいると思いますが、塩酸分解は食品加工の世界では非常によく使われる手法です。
脱脂大豆の塩酸分解はいくつか方法があるのですが、一例を挙げると、脱脂大豆に塩酸を加えて8~10時間加熱するとたんぱく質がアミノ酸に分解されます。これをアルカリ性の苛性ソーダで中和すると「アミノ酸液」ができるわけです。
中和することで塩酸は食品中には残らないということになっています。
このとき使われる大豆は脱脂加工大豆。大豆から油をしぼって残った部分です。油は残っていないけれど、たんぱく質はしっかり含まれています。
「平気で『安いしょうゆ』買う人の超深刻盲点【前編】」で説明しているので詳しくはそちらをご覧ください。
こうしてできあがったアミノ酸液。「うま味」はあるけれど、しょうゆ本来の色も香りも甘みも酸味もありません。
「うま味」があるといっても、なめて「おいしい」というものではありません。しょうゆのうま味は「アミノ酸」ですが、それだけでしょうゆが成り立っているわけではないからです。
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