食品ベンチャーの完全栄養パン「BASE」でカビ騒動 35歳社長が掲げる「売上高1000億円目標」に試練

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しかし他社の事例を振り返ると、製品不良などによる自主回収は珍しい話ではない。

2023年1月から10月24日までに、カビ発生や温度管理の誤り、包装不良など食品衛生法違反やその恐れで製品の自主回収を行ったケースは279件あった。大手上場企業が自主回収しているケースも多く、ある食品メーカー関係者は「機械の不具合など製造不良はどうしても発生してしまう仕方がないものだ」と語る。

他社でも同様の事例があるため、業績に与える影響が軽微かといえば、そう単純ではない。もっとも懸念されるのは主力シリーズBASE FOODのイメージ悪化だ。

同商品は完全栄養食という健康にいいイメージのもと積極拡販を続けてきた。それだけに健康を害する可能性があるカビが発生したという悪いイメージがつけば一気に購入者が離れていく可能性がある。

イメージ悪化をどう乗り切るか

また、大手食品会社と異なり、ベースフードは完全栄養食のBASE FOODシリーズのみを展開していることも向かい風だ。同社は全商品を、今回カビが発生した「BASE BREAD シナモン」「BASE BREAD カレー」「BASE BREAD リッチ」に近いネーミングで販売している。

パン、パスタ、クッキーなど「BASE」シリーズとしてブランド展開している(撮影:梅谷秀司)

その結果、今回カビが発生した一部工場以外で製造された商品でも悪いイメージがつけば、ブランドが毀損し全商品に影響を与えることになりかねない。さらに、売り上げが減少すれば、コンビニなど小売店で取り扱われなくなる棚落ちにつながるなどの影響も懸念される。そうなれば、急成長にブレーキがかかることは避けられそうにない。

果たして売上高1000億円、その先の1兆円へと未来図を描き続けられるのか。ここまで順風満帆に歩んできたベースフードが正念場を迎えている。

井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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