食品ベンチャーの完全栄養パン「BASE」でカビ騒動 35歳社長が掲げる「売上高1000億円目標」に試練

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「BASE BREAD」のシナモン、カレー、リッチの一部商品の自主回収を発表した(撮影:梅谷秀司)

“世界初”をうたう「完全栄養パン」に、カビ騒動が起きた。

栄養素を意識した食品「BASE FOOD」シリーズを展開するベースフードは10月24日、パン「BASE BREAD」計76万4581袋を自主回収すると発表した。該当商品はリョーユーパン唐津工場で製造されたもので、製造所固有記号が「+RA」とあり、賞味期限が一定期間のものが対象だ。

前日23日に一部製造ロットでのカビの多発性を確認し、商品にカビがある場合は交換・返金対応すると発表していたが、自主回収へと対応を広げた格好だ。

ベースフードは「完全栄養食」をうたい、1日に必要な栄養素の1/3がとれる商品を展開。ダイエット需要や健康意識の高まりなどを受けて人気を集めていた。今年7月にはセブン‐イレブンが、前出のBASE BREADの販売エリアを全国に拡大したばかり。ファミリーマートやローソンなど全国のコンビニチェーンの8割で販売されており、今後はドラッグストアやスーパーマーケットなどでの販売拡大も見込んでいた。

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ディー・エヌ・エー出身の35歳社長

ベースフードは投資家からも大きな注目を集める、急成長中の食品ベンチャーだ。2022年11月に東証グロース市場に上場したばかり。コンビニのみならず、自社ECを通じて同社製品を購入する定期購読者は20万人超おり、多くのファンを抱える。

ベースフード代表取締役の橋本舜氏。2016年に起業、2022年には東証グロース市場へ上場した。2022年3月撮影(撮影:梅谷秀司)

創業者で代表取締役の橋本舜氏は東京大学卒業後、2012年にディー・エヌ・エーへ入社。2016年にベースフードを設立し、完全栄養のパスタのクラウドファンディングから事業を拡大していった。2019年に発売したBASE BREADのヒットを機に事業拡大が続く。

今後はパン以外の分野でも拡販を見据えていた。現状では売り上げの9割ほどがパンのBASE BREADシリーズだが、今年2月には冷凍食品「BASE FOOD Deliシリーズ」を開始。上場後は開発人員を増強するなどし、新商品の発売やリニューアルなどを積極投下していた。

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