「食べて弔う」戦前の動物園長が評した"動物の味" アオウミガメやペンギン等、珍しい動物の数々

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中流階級以下の家庭ではあまりに高価なため手が出ず、仔牛の頭で「ニセウミガメスープ」を作っていたほどの、あこがれの食材でした。その後カリブ海周辺でウミガメスープの缶詰が生産されるようになり、安く入手できるようになりました。

2点 ペンギン

林園長によると、ペンギンは腐ったブリのような味がしたそうです(「惡食雑記」『食道楽 1929(昭和4)年5月号』所収)。ダンピアによるとペンギンの肉は“食料として可もなく不可もなしというところ”。

3点 サギ コウノトリ カワウソ アザラシ アシカ

以上3点以下の動物は、特別な料理法で料理しなければ食べられたものではないとのこと。以降の4点以上の動物は、普通に食べることができたそうです。

4点 ゾウ ウマ サル キツネ イヌ タヌキ イノシシ オオカミ シマウマ ワシ タカ

押本映三「象テキ前後」(『食道楽 1935(昭和10)年7月号』所収) によると、宝塚動物園に勤めている友人から病死した象の肉をもらい食べたところ、牛肉より美味しかったとのこと。林園長とは異なり高評価です。

ここらへんは個体の差あるいは主観の差かもしれませんが、それにしても天王寺動物園といい宝塚動物園といい、戦前の動物園では死んだ動物の肉を食べていたらしいのです。

戦前は値段も安かった馬肉

現在は高級肉となっている馬肉ですが、戦前は値段も安く、あまり上等な肉とは評価されていませんでした。というのも、かつては運搬作業用などの使役馬として使えなくなった老いた馬を食べていたからです(東京の馬肉食の歴史については拙著『串かつの戦前史』参照)。

そのためかつての馬肉には独特の臭みがあり、匂い消しのために味噌で煮て食べました。現在の馬肉に臭みはありませんが、東京の桜鍋(馬肉のすき焼き)は伝統を引き継ぎ、現在でも味噌味となっています。

シマウマはウマ科だけあって、ウマと同じランキングになっています。オオカミもイヌと同じランキングです。

5点 ライオン キリン シカ

6点 トラ ラクダ

ライオンとトラでは、トラに軍配が上がるようです。ちなみに林園長によると、ラクダの血は飲みやすくて美味しいそうです(片桐千春「惡食見聞帖」『食道楽 1935(昭和10)年7月号』所収)。

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