所得税に法人税、「減税ラッシュ」がやってくる 法人税減税は「賃上げと研究開発」が要件

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法人税については、賃上げ税制の減税措置の強化や、蓄電池、電気自動車、半導体など戦略分野の国内投資に対する新たな減税制度の創設とともに、防衛力強化のための財源として法人税の増税(付加税の新設)が焦点となる。

法人税の付加税として、2022年度税制改正大綱では、法人税を500万円超払う企業に4~4.5%の追加の法人税を課すことを決めた。しかし、その施行時期は定まっていない。

拙共著論文「法人税申告書の個票データを用いた欠損法人等に関する実態分析」によると、法人税を500万円超払う法人は、全法人(連結法人と外国法人等を除く)の約5%である。そして、この約5%の法人が、全法人が払う法人税収の約95%を払っていることが明らかとなっている。ごく一部の法人が法人税の大半を払っている構図である。

物価高騰の折、インフレを助長せずに減税を行うなら、増税とセットである必要がある。減税一辺倒では、需要を刺激しすぎて物価高騰をあおり、逆に国民生活を悪化させるだけである。その意味で、以下に記す減税措置は、防衛増税とセットで決定すべきである。防衛増税における法人税は、ごく一部の法人に増税となるのみだから、その観点でバランスが取れている。

賃上げ減税のハードルを上げよ

現行の賃上げ税制は、大企業では継続雇用者に3%、中小企業では全雇用者に1.5%以上の賃上げを行うなどすれば、法人税負担が軽減される。

では、現状の賃上げの状況はどうか。

東京商工リサーチの調査によると、賃上げを実施した企業のうち、7割超が3%を超える(賞与を含む)賃上げを行っているという。さらに、大企業の約3割、中小企業の約4割は、5%を超える賃上げを行っているという。加えて、労働組合中央組織である連合は、2024年の春闘において、5%以上の賃上げを要求するという基本方針を示した。

こうした中で、労働組合の要求水準よりも低く、約3%という足元の物価上昇率よりも低い賃上げ率でも、法人税の負担軽減ができるというのでは、甘すぎると考えられる。

特に、岸田首相もインフレ率を超える賃上げの実現を目指そうとしているわけだから、現行の賃上げ税制における前掲の要件(閾値)をもっと上げなければ、その実現はおぼつかない。法人税負担の軽減を動機づけとしてより高い賃上げを目指すなら、法人税の負担軽減の要件は、より高い賃上げ率を設定する必要がある。

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