ジャニーズ「当事者の会」要請、妥当か不当かの拙速 被害者救済のあり方と私たちの目線

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(撮影:尾形文繁)

さらに、裁判などとなると長い時間がかかります。被害者側だけでなく、 SMILE-UP.側にとっても「所属タレントが企業やメディアとの新たな契約が進みづらい」などのデメリットが大きく、現実的ではありません。やはりSMILE-UP.は、時間がかかっても、当事者の会というより、1人ひとりの被害者と向き合って話を聞き、寄り添い続けながら、地道に救済を進めていくしかないのでしょう。

なぜ「当事者の会」は早々に要請を出したのか

続いて、要請書の残り6項目(要約)を挙げていきましょう。

「2 ①本件の事実の全容究明と、被害者全体の救済・補償を行う委員会を速やかに設置、②被害者救済委員会に、当事者の会が推奨する複数名が参加することを求めます」
「3 具体的な補償額についても法を越えた救済を図るよう求めます」
「4 具体的な手続内容、認定基準および補償基準の速やかな公表を行うよう求めます」
「5 示談書(書式)の公表を求めます」
「6 被害者への補償として総額幾らを予算計上しているのかについて公表するよう求めます」
「7 ジャニー喜多川氏に加害されたすべての被害者に対して救済措置を実施するよう求めます」

まず2は、たとえ被害者の要請であっても実現は難しいでしょう。そもそも被害者救済委員会は、救済業務を適正に行うために、被害者とは一定の距離を置くことが前提の組織。では、なぜそんな前提を無視するようなことを求めたのでしょうか。

その思惑が5と6ににじみ出ていました。委員会に推奨者を送り込むだけでなく、「どんな示談書で、どれくらいの金額を用意しているのか」を知りたがっているのは、「被害者救済の全体像を把握したい」という焦りや不安があるからではないでしょうか。

今回の要請書は、そんな焦りや不安からなのか、「急ぎすぎたのではないか」という印象を受けました。社名が変わる直前であり、11月から被害者補償がはじまる前の段階で、7項目にわたる要請を伝えなければいけなかったのか。

「SMILE-UP.の対応を受けてから要請を出す」という流れではいけなかったのか。

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