ジャニー性加害は「1人1000万円補償」が最低線 紀藤正樹氏「事務所の利益の一部を返すべき」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
弁護士 紀藤正樹氏
紀藤正樹(きとう・まさき)/弁護士。被害者の人権問題、児童虐待問題などに取り組む
ジャニー氏による性加害の補償総額はいくらになる? 雑誌・テレビ・映画がジャニーズに依存した理由は? タレント帝国を支えた「ジュニア」育成の仕組みとは?

『週刊東洋経済』11月11日号では「解体!ジャニーズ経済圏」を特集。タレント帝国の知られざる金庫の中身、不動産の保有実態、ジュリー氏が税金を払わないで済む離れワザ、新設会社に原盤権を移転する際の問題点についてお届けする。
『週刊東洋経済 2023年11/11号[雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

ジャニー喜多川氏の未成年者への性加害は実に罪深いものだ。ジャニー氏は重大な刑事事件の主犯として摘発されてしかるべきだった。

刑事責任を問われれば、旧ジャニーズ事務所はとうの昔に市場から淘汰されていた。それほど深刻な事案だ。

それなのに、ジャニー氏亡き後、法形式的に被害者を救済するだけであれば、ジャニー氏の“やり得”になってしまう。それは避けるべきだ。

藤島ジュリー景子氏が書簡の中で「法を超えた救済」と述べたのは、この点を理解してのことと思われる。

「ジャニー喜多川の痕跡を、この世から一切なくしたい」という手紙の文面からも、ジュリー氏が事態の深刻さを理解していることが読み取れる。

利益の一部を被害者に返すべき

被害者への賠償には、慰謝料の基準とされているものだけでなく、長年苦しんできた後遺障害や逸失利益、さらに旧ジャニーズ事務所が得た利益の配分的要素も加味すべきではないか。

後遺障害や逸失利益への補償は交通事故なら当然なされるものだ。また、旧ジャニーズ事務所の利益は数多くの被害者の犠牲の上に成り立ってきた。だから、その利益の全額とは言わないが、一部を被害者に返すべきではないか。

次ページ補償額は1人1000万円を下らない
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事