ジャニー性加害は「1人1000万円補償」が最低線 紀藤正樹氏「事務所の利益の一部を返すべき」

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単なる慰謝料基準では痴漢であれば50万〜100万円、継続的なセクシュアルハラスメントであれば100万〜500万円というのが相場だ。

ただ、この程度ではジャニー氏による未成年時の性被害を、あえて申し出るインセンティブが働かない。現在は普通に働いている男性がわずか50万〜100万円のために被害を話そうとするだろうか。泣き寝入りする被害者が多数生じるのではないか。

長年苦しんできた後遺障害や逸失利益、利益の配分的要素を加味すれば、個々の被害状況に違いがあっても、補償額は1人1000万円を下らないのではないか。

レイプ事件では1000万円の賠償事例はザラにある。セクハラ事件でも1000万円の示談例がある。今回も1人最低1000万円であれば、多くの被害者が名乗り出ようと思うのではないか。

ウミを出し切るには

すべての被害者を救済しなければ、旧ジャニーズ事務所としても、ウミを出し切ったことにならない。補償を終えたと思ったら、その数年後に新たな被害者が名乗り出てくる事態になりかねない。

それではいつまで経っても再スタートを切れない。それは最悪の事態といえる。

被害者救済委員会の3人の委員はいずれも元裁判官だ。ジュリー氏が「法を超えた救済」を明言したにもかかわらず、裁判基準で判断して、低額の補償額しか示さないかもしれない。それでは裁判をするのとそう変わらない。

今からでも遅くはない。被害者救済委員会には、新たにもっとクリエーティブな人や人権感覚のある法律家を入れてはどうか。

紀藤 正樹 弁護士/リンク総合法律事務所所長

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きとう まさき / Masaki Kito

1960年山口県宇部市生まれ。大阪大学法学部卒。同大学院博士前期修士課程修了。法学修士。日本弁護士連合会消費者問題対策委員会理事を1992年からつとめ、「ダイヤルQ2部会」「宗教と消費者部会」「電子商取引部会」などの担当副委員長、委員等を歴任。市民の立場から、一般の消費者被害はもちろんのこと、宗教やインターネットにまつわる消費者問題、被害者の人権問題、児童虐待問題などに取り組んでいる。

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