マイナ保険証、今度は「窓口負担誤表示」多発の実態 信頼失墜し利用率が低下、紙の保険証廃止は無理筋

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医療機関の窓口に置かれたマイナ保険証のカードリーダー(撮影:筆者)

マイナンバーカードを健康保険証として用いた場合に、医療機関の窓口で本来の自己負担割合と異なって表示される事例が相次いで見つかっている。

厚生労働省は2023年9月29日の社会保障審議会医療保険部会で、その数が全国で5695件に上ったと発表した。

同省によれば、「(市町村などによって)正しい事務処理手順が踏まれておらず、システムで防止する仕組みがなかった事象」として4017件、「事務処理手順にかかわらず、システムの仕様の問題により発生する事象」として1678件が報告されたという。

患者や医療機関に大きな不安

これとは別に、医療機関の窓口に設置された、医療事務のためのレセプトコンピュータ(レセコン)の仕様が、国がマイナ保険証と一体で導入を推進する「オンライン資格確認システム」にきちんと対応しておらず、本来と異なった負担割合がレセコン画面上に表示されるといった問題も相次いで見つかっている。

厚労省幹部は「実際に医療機関の窓口で間違った金額の請求があった可能性は否定できない」(安中健・保険局高齢者医療課長)という。一方で、「最終的なレセプト審査では正しい負担割合で処理されている」と説明。そのうえで再発防止策を徹底するとしている。

ただ、窓口での誤表示は、患者との間でトラブルを引き起こしかねない。マイナ保険証に他人の情報を誤ってひも付けた「誤登録」の多発に続く新たな問題の表面化は、患者や医療機関に大きな不安を与えている。

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