■深刻な消費者のジーンズ離れ
ジーンズメーカーのボブソンが5月2日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、6日に手続きが始まった。百貨店などの既存の取引先は打ち切られておらず、営業は継続できるとのことであるが、この後は債権者が納得できる再建に向けた戦略をどう描くかだ。
「BOBSON」のロゴをご覧になったことがある方は多いと思う。5月17日付日本経済新聞電子版の記事『日の丸ジーンズ「ボブソン」は復活するか』によると、『ボブソンの由来をご存じだろうか。そこにはジーンズ発祥の地、アメリカへの猛烈なライバル心が込められている。アメリカで「ボブ」というよくある名前の人物が、日本製のジーンズを買わずに損(ソン)するくらい立派なジーンズを作って見せるという気概があった』とのこと。国産ジーンズメーカーの雄といえるだろう。
5月18日付日本経済新聞では、ボブソンの民事再生法適用申請をからめて、ジーンズ市場縮小の理由をコラム「消費のなぜ」で解説している。タイトルは「振るわぬジーンズ“1000円”乱立の後遺症で苦戦」「値頃感変化“楽な着心地”流行も逆風」とあり、都内の専門店の写真に「従来のジーンズがチノパンなどに押されている」と説明が加えられている。
2009年にファーストリテイリング傘下・ジーユーが990円ジーンズを発売したことを皮切りとして、西友やイオン、ドン・キホーテなどの流通がPB(プライベートブランド)の安価品を相次いで発売し、1000円を切る商品が乱立。「ジーンズデフレ」とでもいえる様相を呈した。記事では「消費者が適切価格を見失い、さらに従来の7~8千円という価格に対しても不信感を抱くようになった」ということがジーンズ不振の一因であると指摘している。
また、代替品の存在も大きいという主旨も解説されている。男性はビジネスカジュアル対応可能なチノパンツ、若年男性は楽なカーゴパンツにジーンズの着用機会を奪われた。女性の場合はレギンススタイルがジーンズスタイルを代替したのである。
それらに対抗し、新たなブームを創造するため、ジーンズメーカー各社は体型補正などの機能をうたう商品を投入しはじめたとある。ストレッチ素材の採用や立体裁断・縫製を施し細かなサイズ対応を展開した商品のことであろう。
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