ジーンズの「ボブソン」はいかに再生すべきか?《それゆけ!カナモリさん》

 ではどうするか。安売りはできないし、したくない。顕在ニーズに応える程度の機能性強化では、関与度の低くなった消費者のKBF(Key Buying Factor=購入決定要因)には不十分。ステレオタイプな情緒的価値はもはや求められない。「総合パンツメーカー」になるには体力とノウハウ不足。・・・という悩ましい前提満載だが、1つの決定している要素として、直営店を6店から12店に増やし、売上の4割を稼ぎ出そうとしているということがある。残り6割を何店舗の百貨店、GMS、アパレル店などの委託販売先に頼っているかわからないが、12店で4割だとすれば、1店舗当たり売上はかなり大きそうだ。また、直営店だから当然だが返品なしなので利益率も高そうだ。

その、直営店というコントロールのしやすい販売チャネルで、高付加価値・高収益な展開を目指すなら、「パターンオーダージーンズ」というのはありえないか。

ジーンズに対する消費者のニーズギャップは「動きにくい」というもの。また、「イマイチお洒落じゃない」ということもあるだろう。ストレッチジーンズ生地の使用、立体縫製に加え、パターンオーダーできれば、動きやすく、自分の思い描くイメージにピッタリなジーンズができあがる。オンタイム用ならパターンオーダーのスーツを比較的こなれた価格で扱う店は多くなっており、ドレスシャツなら「鎌倉シャツ」が人気だ。ジーンズも打ち出し方では十分ニーズを拾えるのではないだろうか。

企業再生において、バランスシート(BS)をキレイにすることは、冷徹かつ粛々と行いさえすれば、さほど困難ではない。問題は「売れ続けるしくみ」をいかに再構築するかにかかっている。今後のボブソンが描く再建戦略に注目したい。

《プロフィール》
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2011年5月27日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。

 

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