同日の日経MJにはボブソンの代表取締役であり、投資会社のマイルストーンターンアラウンドマネジメントの社長である早瀬恵三氏のインタビュー記事が掲載されている。復活策の中心は「直営店を2倍(6店を12店)にし、売上に占める比率を2割から4割にすること」であり、出店の初期投資も極小化できる見込みだという。また、市場観については、日経記事指摘の「ジーンズ市場縮小」に関して「アパレル全般に比べれば状況は良い」とコメントしている。さらに、「デニム素材のジーンズにこだわらず、パンツ全体で見れば、メーカー数はトップス(上着)に比べれば少ない」と、業界内の競合状況が意外と激戦でない様子を明かしている。そして、インタビューの締めくくりとして、「総合パンツメーカーとして生き残る道はある」とも語っている。
マクロ環境で考えれば、経済がデフレ化し、様々な市場で価格破壊が起きた。社会的には、「ファストファッションブーム」が起きて、「安いこと」は消費者の重要なKBF(Key Buying Factor=購入主要因)となり、安いがゆえに様々なスタイルを試す機会を創出した。技術的には、「安いけど高品質(ユニクロ)」や「安いけどオシャレ(外資系ファストファッション)」と従来のバリューラインを上回るポジションを獲得できる生産技術が登場した。
顧客のニーズを考えると、もはやジーンズはファッションの中心にはなり得ず、多々あるアイテムの「one of them」でしかなく、高額(従来の7~8千円)で購入する理由はない。また、ジーンズスタイル以外の選択も多いため、ジーンズそのものに対するニーズは減少している。特に女性のレギンススタイルはジーンズだけでなく、パンツ(ボトムス)縫製メーカー製品を選択しなくなっているため、「顧客消失」という状況に近い。それに対して、男性層には「使い回しがきく」「楽」など、ジーンズ以外のパンツには明確なニーズが健在している。
競合を見れば、ジーンズメーカーにとっては、ボブソンの代表取締役・早瀬氏のコメントの言うように、狭い「パンツメーカー業界」だけでなく、ユニクロやファストファッションメーカーもジーンズ代替としての競合となる。そして、各社はジーンズだけでなく、幅広いスタイル提案と品揃えがある。
では、自社の活かすべき強みと克服すべき弱みは何か。また、KSFは何なのか。
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