■パターンオーダーという策もありでは
ファストファッション勢のように「規模の経済」を活かして低価格化を図る、調達・生産の量産化を行う技術はないものの、専門メーカーとして、ジーンズのトレンドであるダメージ加工や、ストレッチ、立体裁断・縫製による体型補正などの技術は持っていると考えられる。だとすれば、従来の「定番」に縛られない「スタイル提案」や「機能性訴求」が1つは考えられる。
機能性を高める方向性の問題は、低価格化によってジーンズは極端なまでにコモデティー化し、消費者の関与度が低下していること。「ジーンズで体型補正ができるの!!」というレベルのインパクトがあればヒットの芽はあるが、そうした潜在ニーズを持っているターゲットボリュームは大きくなく、ニッチに留まる可能性は高い。同様に、例えば「iPod収納機能付き」などの旬な機能を付加してもニッチとなると考えられる。
もう一方の可能性として、情緒的価値向上の可能性もあるが、ヴィンテージジーンズはマニア、ニッチの極みだし、デザイナーズがマス的にヒットしたのはバブルの昔日。そもそも、ジーンズへの関与度が低下しているので、通り一遍の情緒的価値では訴求力はない。
ボブソンの早瀬社長の言うように、「総合パンツメーカーとして生き残る」という可能性はどうか。
ジーンズというドメインを越え、広い市場で戦うということは、より多くの競合と戦うことになる。そうなると、より広範なKSFの獲得が必要となる。例えば、流行りのカーゴパンツにしても、シルエットのバリエーションはジーンズの比ではなく、それに素材、カラーもジーンズ以上の幅が必要となる。もしくは、ピンポイントで流行りのスタイルを的中させるノウハウが必要。「にわか総合メーカー」には荷が重いのではないか。
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