ジーンズの「ボブソン」はいかに再生すべきか?《それゆけ!カナモリさん》

✎ 1〜 ✎ 53 ✎ 54 ✎ 55 ✎ 最新
拡大
縮小

 

■パターンオーダーという策もありでは

 ファストファッション勢のように「規模の経済」を活かして低価格化を図る、調達・生産の量産化を行う技術はないものの、専門メーカーとして、ジーンズのトレンドであるダメージ加工や、ストレッチ、立体裁断・縫製による体型補正などの技術は持っていると考えられる。だとすれば、従来の「定番」に縛られない「スタイル提案」や「機能性訴求」が1つは考えられる。

機能性を高める方向性の問題は、低価格化によってジーンズは極端なまでにコモデティー化し、消費者の関与度が低下していること。「ジーンズで体型補正ができるの!!」というレベルのインパクトがあればヒットの芽はあるが、そうした潜在ニーズを持っているターゲットボリュームは大きくなく、ニッチに留まる可能性は高い。同様に、例えば「iPod収納機能付き」などの旬な機能を付加してもニッチとなると考えられる。

もう一方の可能性として、情緒的価値向上の可能性もあるが、ヴィンテージジーンズはマニア、ニッチの極みだし、デザイナーズがマス的にヒットしたのはバブルの昔日。そもそも、ジーンズへの関与度が低下しているので、通り一遍の情緒的価値では訴求力はない。

ボブソンの早瀬社長の言うように、「総合パンツメーカーとして生き残る」という可能性はどうか。

ジーンズというドメインを越え、広い市場で戦うということは、より多くの競合と戦うことになる。そうなると、より広範なKSFの獲得が必要となる。例えば、流行りのカーゴパンツにしても、シルエットのバリエーションはジーンズの比ではなく、それに素材、カラーもジーンズ以上の幅が必要となる。もしくは、ピンポイントで流行りのスタイルを的中させるノウハウが必要。「にわか総合メーカー」には荷が重いのではないか。

 

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT