日本はバブル経済が崩壊した1990年代、長期低迷から脱するために「日本的経営を見直す」などと言って、終身雇用制度や年功序列賃金を廃し、成果主義の導入や年功にとらわれない昇進制度、あるいは雇用の流動化を進めようとしてきましたが、実は大企業になるほど、いまも根強く終身雇用制度や年功序列賃金が維持されています。
とくにひどいのは銀行や中央省庁です。いまでも「〇〇年入省組」などということが平気で使われています。
事務次官など、各省庁のトップに就く順番も年功序列が絶対で、入省年次の若い人が、古い人を飛び越えてトップに就任するなんてことは、まず起こりません。中央省庁がそういう状態だから、そこと付き合う大企業も、どうしても入社年次を重視せざるをえなくなります。
プロのサッカーチームは実力主義です。「この選手はチームに所属して5年が経ったから、レギュラーメンバーに加わってもらおう」などという人事は、絶対にありえません。
日本企業は、この絶対にありえない年功序列のサッカーチームであるにもかかわらず、GDPというワールドカップの世界で第3位を維持しています。これは、まさにアメイジングなことなのです。
つまり、日本企業にはものすごいポテンシャルがあるのです。
それを解放するためには、とりもなおさず年功序列をやめることが大事です。もし日本企業が本気になって年功序列をやめれば、十分に世界第1位を狙えるところまで行けるかもしれないのです。
ヒト・モノ・カネの最適配置で日本は元気になる!
1960年前後からの30年間は、日本の高度経済成長に始まり、GDPで世界第2位に上り詰め、株価が過去最高値を更新するなど、まさに絶頂期を謳歌したわけですが、1990年代に入ってからは株価が急落し、不良債権問題をはじめとして、大手金融機関が経営破綻に追い込まれた金融危機、長期化したデフレ経済など、ネガティブな事象が次々に起こりました。
わたしは今、59歳になったのですが、この60年間の日本経済を振り返ると、絶頂に向けてひたすら20年間、突っ走った後、それとほぼ同じ期間、大いなる試練を味わったことになります。そして、この試練の40年間で、多くの日本人が自信を喪失しました。
なぜ自信を喪失してしまったのでしょうか。少なくとも、日本人1人ひとりの基礎能力が、諸外国に比べて大きく劣ってしまったというわけではありません。そうであるにもかかわらず、自身喪失に陥ることになった最大の原因は、ヒト・モノ・カネが最適配置されていないことにあります。
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