この違いは何なのでしょうか。
私は、株式市場における新陳代謝の差だと考えています。S&P500がこれだけ上昇し続けているのは、インデックスを作成する対象となる500銘柄が、どんどん入れ替わっているからです。その時々で、最も競争力の強い企業が選ばれ、インデックスの構成銘柄に組み入れられる一方、競争力の低下した企業はどんどん外されていくのです。
これに対してTOPIXの構成銘柄は、ほとんど入れ替わりません。生産性が大幅に落ち込んで、時代から取り残されたような企業も、指数を構成する銘柄に入っているのです。これでは長年にわたって横ばい状態が続くのも、無理はありません。
時代に合わないものは退出させる。これは資本主義の世界における基本中の基本です。
上場を取り消された企業は解散する。解散してそこから放出された人やその他のリソースが、もっと生産性の高い企業で使われるようになれば、全体の生産性が上がり、株価の上昇にもつながっていくはずです。
年功序列を廃止して競争心を取り戻せ
株価を上げるためには、株式市場の改革に加え、企業側の努力も必要です。そして、努力をするのと同時に、これからの日本企業がもう一度、取り戻さなければならないものがあります。
それは「競争心」です。
競争心が失われてしまった原因の根底にあるのは、年功序列ではないかと思うのです。
年功序列とは、たとえば2022年入社組、2023年入社組というように、同じ入社年次のなかで競争が行われ、その中で優秀な人材が課長、部長、役員、社長というように昇進の階段を上っていく、日本企業の多くに見られる雇用の仕組みです。ある程度の年次にならないと昇進のチャンスを手にできませんし、給与も上がりません。
かつての日本において、年功序列はプラスに作用してきましたが、経済が成熟段階に入った今となっては、むしろ弊害のほうが多く見られます。日本のように経済規模が縮小していく懸念があるなかでは、全員が平等に豊かになることはできません。競争に勝ち抜いた人がリーダーになり、組織をグイグイ引っ張っていくという形にしなければ、モチベーションはガタ落ちになりますし、競争心も失われる一方です。
そして、競争心が失われた組織では、いまのグローバルな競争環境のなかで生き抜いていくことはできなくなります。だからこそ、日本のあらゆる組織から、年功序列の考え方を完全に排除する必要があるのです。
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