2023年5月に公表された日本の対外純資産は、2022年12月末時点で400兆円を超えて過去最高になり、31年連続で世界一の座を守り続けている。ところが、日本は世界最大の債権大国であるものの、その多くが利息しか受け取れない債券や貸付のため、アップサイドが期待できない。一方で、諸外国は、日本からわずかな利息でお金を借り、株式などアップサイドが期待できる資産に投資している。マネックスグループ創業者で会長の松本大氏は「何ともったいないことか」と言う。
今回は、「資本市場を活用して日本を復活させる方法」をまとめた新刊『松本大の資本市場立国論』を上梓した松本氏が、「フローに限界のある日本で、ストックを活かして日本を復活させるために必要なこと」について解説する。
株価上昇が国民を幸せにする仕組みを構築する
資本主義経済を標榜する以上、経済規模の拡大は必須です。日本に限らず、世界中の資本主義経済国家にとってのグランドデザインは、経済規模拡大の飽くなき追求と言ってもいいでしょう。
そして、いまの日本が必要とするグランドデザインは、「株価の上昇が国全体、そして国民であるわたしたち一人一人に幸せをもたらす仕組みを構築する」ことです。
なぜ、それが日本のグランドデザインなのでしょうか。
それ以外に活路を見出せないからです。
日本は戦後、焼け野原の中から見事に立ち直りました。終戦から10年後の1955年、日本のGDPは8兆7000億円程度でしたが、そこからどんどん成長して、1997年には543兆5453億円にまで成長したのです。
42年間で60倍以上の成長です。「世界に追いつけ追い越せ」を合言葉にして国民全員一丸となって、今日よりもよい明日を目指して頑張った結果、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国にまで、のし上がりました。
では、これからはどうなのでしょうか。
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