ちなみに対外純資産とは、日本の政府や企業、個人が海外に持っている金融資産である「対外資産」から、海外の政府、企業、個人が日本国内に持っている金融資産である「対外負債」の金額を差し引いて計算されます。
日本の対外純資産は実に31年連続で世界一の座を守り続けています。
もうひとつのストックは、家計部門が保有している金融資産です。個人金融資産と言ってもいいでしょう。
個人金融資産の総額は、2023年3月末時点で2043兆円あり、このうち海外に投資されている分が、前述した対外資産に組み入れられています。この重複分を外して対外純資産と個人金融資産を合わせたら、2000兆円を大きく上回る資産を、日本という国は保有していることになるのです。
単純に考えても、日本のGDPの4倍近い資産ですから、年収4年分の貯蓄を持っていることになります。これを、これまで述べてきたような方法で有効活用すれば、日本経済は地盤沈下を防ぐことができるはずです。
これを実現させるために必要なのが、「株価の上昇が国全体、そして国民であるわたしたち一人一人にとっていい結果をもたらす仕組みを構築する」というグランドデザインを、日本国民に伝えることなのです。
海外資産のアップサイドを取れ!
もうひとつ、日本がストックを活かすために、指摘しておきたい点があります。
前述したように、日本は世界に冠たる債権大国です。ただ、世界最大の債権大国であるものの、日本には残念な点があります。それは海外に保有している資産のアップサイドが、あまり期待できないことです。
これは対外資産の中身を見ると明らかです。
日本が海外に持っている資産は、中長期債といって償還までの期間が比較的長めの債券が最も金額的に大きく、284兆2500億円ありますが、海外が保有している日本の中長期債の額は128兆5580億円です。
また、株式で比較すると、日本が海外で保有している株式の総額は113兆8830億円であるのに対し、海外が保有している日本株は220兆890億円です。
債券は元本に対して一定の年率で利息が支払われ、償還時に預けたのと同じ元本が戻ってきます。つまり受け取れる収益は毎年の利息だけです。
対して株式は、配当金に加え、株価が上昇すると大きな値上がり益を得ることができます。
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