松本大「もしも世界に貸したお金で株を買ったら」 2000兆円の金融資産の活用で日本は復活する!

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

残念ながら、これから先、GDPをさらに大きく増やしていくのは、非常に難しいと思います。なぜなら日本は、人口減少社会になってしまったからです。

長年にわたって世界第2位だったGDPは中国に追い越され、世界第3位になっています。これからインドをはじめとして、ものすごい勢いで成長していく国が現れ、GDPの規模で日本を追い抜いていくでしょう。プライスウォーターハウスクーパーズが2017年に発表した、2050年までの世界経済の見通しを分析したレポート「The World in 2050」によると、日本のGDPは世界第3位を守ることはできず、第8位まで転落すると書かれています。

GDPは「国内総生産」のことです。年間のGDPであれば、その1年間で、日本国内で生産された財やサービスの総合計額を指しています。言い換えると、フローから見た経済規模のことです。

フローですから、毎年新たに生み出されては消費されていきます。そしてフローの経済規模は、人口によって決まります。したがって、1億2000万人をピークにして、人口が減少の一途をたどっている日本のGDPが、中国やインドのように10億人をはるかに上回る人口を擁する国のGDPを上回り続けるのは、基本的に不可能なのです。前述したレポートではありませんが、日本のGDPの世界ランキングは、これから間違いなく下がっていきます。

では、もう日本経済はだめなのかというと、わたしは決してそんなことはないと考えています。なぜなら、日本のフローは確かに今後、縮小傾向をたどっていくことになりますが、一方で膨大なストックを持っているからです。

フローに限界があるならストックを活かせ!

フローが給与だとしたら、ストックは預金です。たとえて言うならいまの日本は、年齢的には50代半ばで、役職定年を迎えて毎月の給与は減っているものの、これまで一所懸命に働いた結果、ある程度の個人資産を築き上げることができた、という感じでしょうか。

50代も半ばになると、そこから先、給与が大きく増えることはないでしょう。でも、だからといって落胆してはいません。なにしろかなりの金額の蓄財があるのです。これを株式や投資信託で上手に運用すれば、いま、会社から支払われている給与よりも大きな投資運用益が得られるかもしれません。

いまの日本は、これとほぼ同じ状況なのです。GDPはほとんど伸びないけれども、莫大な金額の「対外純資産」を持っています。ちなみに2023年5月に公表された日本の対外純資産は、2022年12月末時点で400兆円を超えて、過去最高になりました。正確な金額は418兆6285億円です。

次ページ対外純資産とは?
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事