親の生きづらさが子どもに連鎖する深刻な事情 すべての人間関係は「親との関係」に帰結する

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たとえば、父親が話を聞かない支配的な怖い人だった人が上司に父親を投影してしまい、支配的で厳格な業務管理に苦しんでも反発することができないということが起こります。あるいは母親が人の前では厳しく叱る人だけれど自分と2人きりのときは優しく甘やかす人だった人は、上司にどんなに厳しくされても「この人の言葉はきついけれど、本当は優しい人なんだろう」と思ってしまうのです。

この人間関係のくり返しは、子としての自分の役割を繰り返すだけではありません。自分以外の家族が担っていた役割を無意識のうちに演じるケースもあります。たとえば職場で上司に意見する部下に対し「立場が下のくせに部長である私に意見を言うなんてけしからん」と腹を立てている人には、厳しい父親の価値観が刷り込まれている可能性があります。無意識のうちに父親のように行動しているわけです。母親が憑依したかのように、パートナーに奉仕してしまうということもあるでしょう。

偏りのある親の価値観が基準になっていると世間一般とのギャップに混乱し、社会に適応することが難しくなってきます。ただ一見、家庭環境も親も普通だと親との関係に問題がある(あった)とは気づきません。もし今、人間関係で悩んでいる人がいたら相手に親の姿を投影し対応していないか、自分自身が厳しかった父親や奉仕的だった母親の役回りを演じていないか見つめ直してみましょう。過去の親子関係を繰り返していることが問題なのだと意識できただけで、認知のゆがみの修正に一歩踏み出しています。

なぜかイライラさせられる人

また会社の同僚のなかには、「なぜかやたらとイライラさせられる人」がいるかもしれません。ついきつく当たってしまい、「私はこんないやな性格だっただろうか」と落ち込んだりするのなら、相手の親の役割を演じさせられている可能性があります。

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