日テレ「ZIP!」の仕掛け人が挑むHuluの奇策 ネット時代にテレビ局が果たす役割とは?

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スマホやタブレットなど、いろいろな端末で場所と時を選ばず動画コンテンツを見られるように進化した以上、テレビ番組のタイムテーブルも対応していかなければならないのは確か。ただ、放送局としては、ドラマ、バラエティ、ニュース、情報番組がバランスよく編成されるべきで、番組すべてを生放送にすればいいわけでもない。

「テレビという受像機中心の考え方から、コンテンツを中心とした考え方に移行していかなければならないのではないか、と考えている。ドラマのようなストック型のコンテンツと、ニュースや情報番組、スポーツなどフロー型のコンテンツというように、これまでの視点とは異なる分け方で考える必要がある」

ストック型コンテンツを有効活用

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ストック型のコンテンツで、どれだけ番組の魅力を伝えられるかが試される(撮影:引地信彦)

ストック型のコンテンツは、新作を一度楽しむだけではなく、10年前の旧作を懐かしいと思ってもう一度見たり、放送当時は見過ごしていた作品を数年後視聴したりする。バラエティ番組の視聴もストック型に近い。一方、フロー型のコンテンツは、今、この場で見たいというニーズが強く、生放送での視聴が最も価値が高くなるようなものを指す。

「現代の若い人たちは忙しいので、どんな番組が放送されているのか、面白いと思う番組があったとしても知らない間に終わっているのだと思う。一度世の中に送り出されてしまうと、二度と手に入らないのが放送のよさであり、悲しいところ。どんなに面白い番組を作っても、放送の中だけでは気づいてもらえない」

そこでストック型のコンテンツは、ネット配信を通じてスマホやタブレットでも視聴する機会を増やし、面白さに気づいてもらう。放送局が作ったコンテンツをいち早く楽しめるのは地上波放送だから、見たいと思った視聴者はネットから放送に戻ってきてくれる、と三枝は見る。視聴者をネットから地上波に還すというサイクルを作り出すこと。これが、放送局である日テレがHulu事業に乗り出した一番の理由なのかもしれない。

(敬称略)

中原 美絵子 フリーライター

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なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

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