NHKが乗り出す「ネット同時配信」の衝撃

風雲急を告げる日本の動画配信市場

日本テレビの「見逃し配信」サービス。同業他社に先駆けて、2014年1月にスタートした(撮影:尾形文繁)

今年のウィンブルドンは、生中継の錦織圭選手の勇姿を、帰宅途中の電車からスマートフォンで視聴する人が増えるかもしれない。

NHKは改正放送法の施行を待ち、4月にも放送中の番組の「ネット同時配信」を開始する予定だ。当面は、災害などの緊急時以外は“試験的な提供”に位置づけられ、単発番組のスポーツイベントは年間5件程度かつ1日4時間以内、単発以外の番組の場合、対象者は受信契約者から募集した1万人以内と、かなり限定されたものになる。

NHKの籾井会長はネット視聴に対する将来的な受信料徴収も視野に入れているようだ(撮影:尾形文繁)

限定配信の間、ネット同時配信にかかる費用は、受信料収入の範囲内で賄われる。しかし、NHKの籾井勝人会長は「放送の視聴者と同じように、ネット(配信の視聴者)も受信料を徴収しなければ不公平」と語っており、将来的なネット視聴に対する受信料徴収も視野に入れているようだ。

民放連会長もくぎを刺す

NHKのこうした動きに、戦々恐々としているのが民放キー局だ。

日本民間放送連盟の井上弘会長は「『放送の補完』という目的を踏まえて、限定的、抑制的な運用となることを期待する」とくぎを刺す。6000億円を超える豊富な受信料収入を元手に、NHKがネット配信に本腰を入れるようになれば、広告収入で成り立つ民放の既存のビジネスが圧迫されかねない。

次ページ民放の対抗策とは?
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ブックス・レビュー
  • 就職四季報プラスワン
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
電池開発でノーベル化学賞<br>吉野彰氏が示した「危機感」

受賞会見とともに、リチウムイオン電池の開発の歴史と当事者の労苦を振り返る。世界の先頭を走ってきた日本も、今後および次世代型の市場では優位性が脅かされつつある。吉野氏率いる全固体電池開発プロジェクトに巻き返しの期待がかかる。