NHKが乗り出す「ネット同時配信」の衝撃 風雲急を告げる日本の動画配信市場

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視聴率3冠の日テレと同じような強気の戦略を打てる局はなさそうだ(撮影:今井康一)

ただし、他局も、日本テレビと同様の値付けができるわけではない。2014年の年間視聴率で三冠を獲得した日本テレビは、地上波放送のCM枠を完売できるため、ネット広告枠を高値で別売りできる。しかし、視聴率が低迷しているTBSとフジテレビは、地上波のCM枠が売れ残る状態で、ネット広告枠の営業は至難の業だろう。

課題はほかにもある。在京キー局がネット配信のビジネスモデルを確立するためには、全国各地に抱える系列局との問題をクリアにしなければならない。

放送の場合、都道府県を基本単位として、放送対象エリアが区切られている。地方局は、スポンサーからの広告料収入の分配金を系列キー局から受け取っており、それが利益の大部分を占める。

地方で遅れて放送されるキー局の番組を、先にネット上で視聴する人が増えれば、地方局の視聴率が下がり、広告収入の減少につながる可能性もある。系列局との利害関係をどう調整するか、今後、議論が必要となりそうだ。

動画配信の"黒船"も襲来

さらに今秋には、全世界で5700万人超の会員がいるという、米国の定額制動画配信サービス「Netflix」が日本に進出してくる予定だ。日本市場でどの程度受け入れられるかは未知数だが、Netflixと同様の定額制サービス「Hulu」を運営する日本テレビはもちろん、民放各局が対応策を迫られている。

今後もテレビ局がマスメディアの雄として君臨し続けられるか。自社の持つコンテンツ制作能力を最大限発揮できる、新しいビジネスモデルを確立することが、勝ち残りの必要条件となりそうだ。

「週刊東洋経済」2015年3月14日号<9日発売>「核心リポート03」を転載)

中原 美絵子 フリーライター

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なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

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