「成績が良いといじめられる」日本人の特殊性 差異や異質を求める「異年齢学級」の役割

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日本の子どもたちにとって、いじめは非日常ではない(写真:タカス/PIXTA)

文部科学省は10月4日、いじめや不登校などに関する実態調査の結果を公表した。それによると、小・中・高等学校および特別支援学校で確認されたいじめの件数は、昨年度68万1948件となり、前年度比で10.8%増加、過去最多となった。

子どもたちのいじめは日本に限ったことではないが、日本のいじめには特殊性もある。その特殊性に注目すると、教育現場の限界と同時に、打開策も見えてくる。

被害7〜8割、加害も6〜7割

同調査では、児童生徒1000人当たりのいじめ認知件数は53.3件だった。クラスに1〜2人の計算だが、これはあくまで「認知」された件数だ。

国立教育政策研究所の「いじめ追跡調査2016−2018」によれば、小4〜6年生と中1〜3年生のそれぞれ3年間に、「仲間はずれ・無視・陰口」といったいじめ被害を7〜8割の子どもが経験している。そればかりか加害も、6〜7割が経験しているという。いじめは日本の子どもたちにとって非日常ではないのだ。

では、どんな子どもがいじめを受けやすいのか。

世界的に言われているのは、学業の成績との相関性だ。

文科省の公表している報告書(「OECD生徒の学習到達度調査」[PISA2015]国立教育政策研究所)を見ると、OECD平均では科学的リテラシーの得点が高くなるほどに、いじめ被害にあう割合は減っていく。

OECD平均では科学的リテラシーの得点が高くなるほどに、いじめ被害にあう割合は減っていく(出所:国立教育政策研究所「PISA2015年調査国際結果報告書『生徒のwell-being』)

これに対し、日本の子どもたちのいじめの特殊性は、一目瞭然だ。

日本では、「他の生徒にからかわれた」と回答した子どもの割合は、科学リテラシーレベルが高くなるほど増えていき、最上位では一番低いグループと比べて8%も高い。「叩かれたり押されたりした」との回答も上位層で急増する。

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