夫がスキルス胃がんでも私が「笑って暮らせる」訳 元ニート妻は大黒柱、夫は買い出し係に大胆転身

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手術後に投与していた抗がん剤は副作用が強く、たびたび昏倒し、吐き気で食べられない、眠れない日が続きました。そして、秋には肝臓への転移も見つかり、主治医から、

「早ければ年内、来年の桜は見られないかもしれません」

との余命宣告を受けてしまったのです。

幸いにも進行は止まるが、完治は見込めず…

その後、抗がん剤を変更したところ効果があり、現在はがんの進行を抑えられている状態です。とはいえ、もう完治することはない、手術もできないと言われており、今年の春にはポート(抗がん剤を投与するための管)から感染症になり敗血症になりかけたりと、なんだか常に心が折れそうな状況ではあるのです。

今でも、抗がん剤の副作用でだるさがでるため、週の半分ほどは寝て過ごしています。

週に1度の抗がん剤治療の翌日から数日間は、倦怠感が強いようで日中もほぼ寝ています。病気の判明は、夫婦の役割分担が変化するきっかけとなりました。横にいるのは添い寝する犬と猫(筆者撮影)

と、ここまでの話だと「さぞ暗く暮らしているんだろう」と思われるかもしれませんが、夫は毎日機嫌よく暮らしています。そして、私もそんな夫を見ながら、毎日機嫌よく暮らしています。

骨が弱っているので、万が一の転倒に備えて、長袖&革手袋で自転車に乗ります(筆者撮影)

抗がん剤の副作用は長く使うほど強くなり、がんの進行を遅らせることはできても治るわけではありません。だんだんできることは減っていきます。夫は抗がん剤投与をはじめてから半年ほどたった頃、手足の痺れが増し、大好きな車とバイクの運転をあきらめる決断をしました。

私はもっと落胆するかと思っていたのですが、本人は意外にもさっぱりしたもので、シェアサイクルのサブスクに登録して自転車で出かけるようになりました。

ただ、おじさんが1人で出かける先ってなかなかないんですよね。東京タワーや銀座、六本木なども、ひととおりめぐり、自転車で行ける範囲は行き尽くし、図書館にも通ってみたものの、家に居場所のないおじいさんの溜まり場みたいになっているらしく、新参者としては居心地はいまいちだったよう。

そんな夫を見ていた結果、出かける理由が欲しそうな時は冷蔵庫をチェックして、「たまごが切れたから買ってきて」とか「マヨネーズの残りが少ないから買ってきて」とか、おつかいをちょこちょこ頼むようにしていたのですが、

「いっそのこと、冷蔵庫の在庫管理も含めて、買い物全般お願いできひんやろか?」

と、考えました。

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