内心は2パックも買うのはちょっとなぁと思いましたが、とりあえず褒めます。
「初めてとは思えないほど買い物上手やん。豚肉が1g1円を切ってるのはお得なんやで。豚肉は鶏肉と違って日持ちするから沢山買っても問題ないねん」
すると買い出しに行くたびに、豚肉のジャンボパックばかりを買ってくるようになりました。あまりにも連続で買ってくるので、なぜ豚肉ばかりを買うのか聞いてみたところ、
「だって、牛肉は1g1円以上したし、鶏肉は豚肉と違って日持ちしないから」
と言うのです。彼は私の言葉を全部覚えていてくれて、牛肉は高いから買えない、鶏肉は日持ちしないから買えないと思いこみ、豚肉ばかりを買って帰ってきていたのでした。還暦のフォレスト・ガンプがここにいました。こんなかわいい人を、愛さずにいられるでしょうか?
バブル世代の夫、「おつとめ品大好きおじさん」に進化
本連載の初回でお話ししましたが、以前はお金にだらしなく、金遣いが派手なタイプだった夫。
マンションや車、オーディオやカメラなど高額なものを後先考えず買うので、結婚した時の貯金はゼロ(借金は1000万円)。思わず「バブルの残り香」と揶揄するほどでしたが、「夫婦は合わせ鏡」という言葉さながら、ケチで倹約家な嫁(私のことです)に強い影響を受け、いつの間にか「おつとめ品大好きおじさん」に変貌していたようです。
割引シールが貼ってあるものを見つけるととにかく買わないと気が済まないようで、半額シールが貼ってあれば「豆腐」「卵豆腐」「厚揚げ」という、似通ったものでも買って帰ってきます。
こんなに手堅い買い物をしてくるとは、全くもって予想外。「1カ月2万円ぐらいで」と軽い気持ちで伝えた予算を、しっかりと守れる買い物上手だったのは嬉しい誤算です。
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