カード統計"水増し"は、なぜ続いてきたのか

「3億枚」の公表数字は誤りだった

今年1月7日の協会による賀詞交換会でも、大森一廣会長から関係者への説明や陳謝の言葉はなかった。最大の問題は、原因が明らかにされていないことだ。協会の発表文は、「一部調査対象事業者において報告すべき数値の解釈に誤解があり、その結果、過大な数値により報告がなされていたことが判明しました」というだけ。誤解の内容や誤った報告をした企業の名は伏せられている。

その理由について協会の松井哲夫副会長は、「詳細を明らかにすると、会社名が特定される。そうなると会社名は申し上げないと言ってきたことと矛盾してしまう」と本誌の取材に答えている。

松井副会長は否定するが、原因を作った企業との間で何らかの密約があったのではないか、との疑いを抱かせる。

説得力を欠くJCBの説明

本誌は取材を通じて、問題を引き起こした企業が、大手のJCBであることを突き止めた。そのうえで同社に見解を聞いたところ、協会が本来求めていた個別企業の数字ではなく、「(提携先を含む)グループ全体の数字を答えていた」(細田和之広報部長)と過大報告の事実を認めた。その一方で「解釈の違いであり、間違った数字を答えたという認識は持っていない」(細田氏)とも言う。

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(撮影:梅谷秀司)

しかし、JCBの説明は、説得力が乏しい。というのも、本誌が協会から入手した「平成25年度消費者信用実態調査回答票」には「記入上の注意」として、「この調査は、企業単位の調査です」と明記されているからだ。フランチャイジーを含む「グループベース」で報告すれば、信用供与額やカード発行枚数がダブルカウントされてしまうことは、容易に想像できる。

それではなぜ、社名が明らかにされる調査ではないのに、JCBは過大な数字を回答したのか。明確な回答は得られなかったが、他社との競争の中で、自社の姿を“より大きく”見せようとする意図が底流にあったのではないか。

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