カード統計"水増し"は、なぜ続いてきたのか 「3億枚」の公表数字は誤りだった

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協会は誤りを認識しながら放置?

たとえば同社はカード発行会社単体としての信用供与額を明らかにしていないが、フランチャイジーの数値などと合算した「総取扱高」を開示している。こうした慣行が、協会に回答するに際し、影響を与えた可能性もある。

カード業界の事情に詳しい『月刊消費者信用』の浅見淳編集長は、「各社の情報開示の仕方には統一的なルールがない。情報開示のあり方を真剣に考えてこなかったことが問題の放置につながったのではないか」と指摘する。

前出の松井副会長は「過去に職員が疑問を呈したものの、先方の企業からは、『当社の方針ではこの数字しか出さない』と言われたようだ」とも述べている。もし事実だとしたら、協会は誤りを認識していながら、看過していた可能性がある。

協会によれば、少なくとも03年から間違いがあったが、それ以前の状況は把握できなかったという。日本でクレジットカードが誕生してから55年。統計が正確性を欠くため、業界の歴史をたどることも困難なようだ。

「週刊東洋経済」2015年5月30日号<25日発売>「核心リポート01」を転載)

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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