カード統計"水増し"は、なぜ続いてきたのか 「3億枚」の公表数字は誤りだった
協会は誤りを認識しながら放置?
たとえば同社はカード発行会社単体としての信用供与額を明らかにしていないが、フランチャイジーの数値などと合算した「総取扱高」を開示している。こうした慣行が、協会に回答するに際し、影響を与えた可能性もある。
カード業界の事情に詳しい『月刊消費者信用』の浅見淳編集長は、「各社の情報開示の仕方には統一的なルールがない。情報開示のあり方を真剣に考えてこなかったことが問題の放置につながったのではないか」と指摘する。
前出の松井副会長は「過去に職員が疑問を呈したものの、先方の企業からは、『当社の方針ではこの数字しか出さない』と言われたようだ」とも述べている。もし事実だとしたら、協会は誤りを認識していながら、看過していた可能性がある。
協会によれば、少なくとも03年から間違いがあったが、それ以前の状況は把握できなかったという。日本でクレジットカードが誕生してから55年。統計が正確性を欠くため、業界の歴史をたどることも困難なようだ。
(「週刊東洋経済」2015年5月30日号<25日発売>「核心リポート01」を転載)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら