中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)に対し、アメリカ政府が過酷な制裁を突きつけてから3年余り。同社は自社設計の高性能半導体の生産再開を軌道に乗せつつある。
ファーウェイは9月25日、広東省深圳市で秋季の新製品発表会を開催。タブレット端末、スマートテレビ、ワイヤレスイヤホン、スマートウォッチなど多数の新製品を発表した。
業界関係者の驚きをさそったのは、それらの中でタブレット端末の「MatePad Pro」が自社設計チップの「麒麟(Kirin)9000s」を、ワイヤレスイヤホンの「FreeBuds Pro 3」が同じく「麒麟A2」を、スマートテレビ「V5 Pro」が同じく「鴻鵠(Honghu)900」をそれぞれ搭載したことだ。
技術や製造元の情報は明かさず
ファーウェイは、これらの半導体がどのような製造技術で作られたのかを明かしていない。また、チップの製造を自社工場で行ったのか、あるいは社外のファウンドリー(半導体の受託製造企業)に生産委託したのかについても口をつぐんでいる。
とはいえ、ここにきて自社設計チップの搭載機種を増やしたことは、ファーウェイが半導体の国産化でブレークスルーを果たし、その展開が「点」から「面」にステップアップしたことを示している。
アメリカ政府は2020年5月、ファーウェイに対する制裁を大幅に強化。同年9月以降、アメリカ由来の技術を使用するファウンドリーがファーウェイからチップの製造を受託する場合、アメリカ政府の許可を得なければならなくなった。
この制裁により、ファーウェイからの生産委託を引き受けるファウンドリーは皆無になり、ファーウェイの自社設計チップは息の根を止められたかに見えた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら