韓国半導体大手を悩ます「米中対立」のジレンマ アメリカの対中輸出規制強化で中国工場に難題

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韓国の半導体大手は中国に大規模な生産拠点を構える。写真は江蘇省無錫市のSKハイニックスのDRAM工場(同社ウェブサイトより)

先端半導体技術をめぐるアメリカと中国の対立の狭間で、韓国が困難な対応を迫られている。

韓国政府の方文圭(パン・ムンギュ)産業通商資源相は9月22日、アメリカ商務省のドン・グレーブス副長官とソウルで会談し、ハイテク産業、サプライチェーン、輸出管理などの分野での韓米協力について協議した。

その焦点の1つは、アメリカのバイデン大統領が2022年8月に署名して成立した「CHIPS・科学法」への対応だ。韓国政府の発表によれば、方氏は同法に盛り込まれた国家安全保障条項(ガードレール条項)に関する「懸案」を円満に解決できるよう、グレーブス副長官にアメリカ政府の善処を求めたという。

(訳注:CHIPS・科学法には、アメリカ本土での半導体の生産や研究開発に対する巨額の補助金や税制優遇などの支援措置が盛り込まれている。企業や研究機関が支援措置を受けるためには、ガードレール条項を順守しなければならない)

「例外措置」が10月末に期限切れ

韓国の半導体産業には目下、米中対立の激化がもたらした喫緊の課題が2つある。1つ目は、先端半導体技術の対中輸出を厳しく制限するアメリカの輸出管理制度の「例外措置」についてだ。2022年10月にアメリカ政府が大幅な規制強化に踏み切った際、韓国のSKハイニックスとサムスン電子の中国工場には1年間の適用除外が認められた。

だが、仮にアメリカ政府が例外措置の延長を認めなければ、両社の中国工場は2023年10月末以降、中国企業と同等の規制を受けることになる。そうなれば、アメリカ製の半導体製造装置などを(中国工場に)輸出する際に煩雑な手続きが必要になるほか、輸出申請が却下され設備の更新や(消耗品やスペアパーツなどの)資材の供給ができなくなるリスクがある。

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