2つ目の課題は、CHIPS・科学法のガードレール条項に関するものだ。同条項はCHIPS・科学法に基づく補助金を受け取る半導体メーカーに対して、先端技術だけでなく(旧世代の)成熟技術を含めて、中国の既存工場の大規模な設備更新は認めないとしている。
サムスン電子は現在、アメリカのテキサス州に170億ドル(約2兆5145億円)を投じて最先端の半導体工場を建設中で、アメリカ政府に補助金を申請する資格を持つ。だが実際に補助金を受け取った場合、(例外措置などの適用がなければ)中国工場での生産が規制されてしまう。
世界の半導体供給の混乱要因にも
韓国の半導体メーカーにとって中国は重要な生産拠点であり、巨大な市場でもある。SKハイニックスは江蘇省無錫市にDRAMの大規模工場を持ち、これまでに累計200億ドル(約2兆9582億円)超を投資した。
市場調査会社の集邦諮詢(トレンドフォース)が2022年10月に発表したレポートによれば、SKハイニックスの無錫工場だけで全世界のDRAM生産能力の13%を占めるという。
サムスン電子は、陝西省西安市のNAND型フラッシュメモリー工場を段階的に拡張してきた。建設プロジェクトの第1期は108億7000万ドル(約1兆6078億円)を投じ、2014年に量産を開始。2017年に70億ドル(約1兆354億円)を投じて第2期を着工し、2019年に80億ドル(約1兆1833億円)を追加投資して2021年に全面稼働した。
(訳注:西安工場はサムスン電子のNAND型フラッシュメモリー製造の約4割を受け持つとされる)
(財新記者:杜知航)
※原文の配信は9月22日
(訳注:韓国大統領府は10月9日、アメリカ政府がサムスン電子とSKハイニックスを「検証済みユーザー」に指定し、両社の中国工場がアメリカ製の半導体製造装置を特別な手続き無しに導入可能になったと発表した。しかし生産能力の拡大などには一定の制約が課されるとの見方がある)
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