肥満の予防は「水を飲むといい」と言う科学的理由 最近の研究でわかってきた人体の仕組みとは?

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バゾプレッシンとは、抗利尿ホルモンとも呼ばれ、腎臓に働いて、本来尿で排泄される水を再吸収し、尿量を減らし体内の適度な水分量を維持する働きがあります。バゾプレッシンが分泌されないと、尿崩症といって薄い尿が限りなく出てしまい、脱水状態になってしまいます。

お酒に酔うと、トイレに何度も行って薄い尿が出る経験をお持ちでしょうが、あれはアルコールが脳に働いてバゾプレッシンの分泌が下がり、軽い尿崩症になっているという報告もあります。

バゾプレッシンのもう1つの作用

コロラド大学の研究チームは、マウスを使った実験で、砂糖水(果糖:フルクトース)を与えると脳のある部分が刺激されてバゾプレッシンが放出されるということを発見しました。

バゾプレッシンが出るならよいのではと考えてしまいますが、なんとこのバゾプレッシンは再吸収した体内の水分を脂肪として貯蔵し始めたのです。また、こうした作用はV1bというバゾプレッシン受容体を介して行われていることがわかりました。

バゾプレッシンは体内の水分を脂肪として貯蔵させる(出所:『ウソみたいな人体の話を大学の先生に解説してもらいました。』)

以前から、肥満の人や糖尿病の患者の体内では、バゾプレッシンの値が高いことが知られていたのですが、遺伝的にV1bを持たないマウスで同じことを試してみると脂肪の蓄積が起こりませんでした。上記の結果から、肥満や糖尿病の病態にバゾプレッシンが深く関わっていることが明らかになったのです。

バゾプレッシンは、例えば砂漠に住むラクダなどの動物で活性化しており、コブに水を脂肪として蓄えるのにも、このホルモンが関わっているといわれています。

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