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肥満の予防は「水を飲むといい」と言う科学的理由 最近の研究でわかってきた人体の仕組みとは?

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  • 中尾 篤典 岡山大学学術研究院医歯薬学域 救命救急・災害医学講座 主任教授
  • 毛内 拡 お茶の水女子大学 基幹研究院自然科学系 助教
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研究チームは、バゾプレッシンを出さないようにすれば、肥満や糖尿病の治療や予防になると考えました。つまり、体が水分を十分に維持できていればバゾプレッシンの助けを借りなくてもいいわけですので、そのためには単純に水を飲めばいいのです。

そこで研究チームは、マウスに水を十分に補給する水治療法を試してみたところ、メタボリックシンドロームから効果的にマウスを保護することができたのです。

この研究でわかったことは、砂糖、とくに果糖(果実やはちみつに多く含まれる糖)の摂取がバゾプレッシンを活性化させ、バゾプレッシンは体内の水分を貯蔵するために脂肪生成を促進させるということです。水分が再吸収されるため脱水状態は進み、その状態のバゾプレッシンをさらに活性化させます。

また、バゾプレッシンは血管を収縮させ、血圧を上げる作用もありますから、バゾプレッシンがどんどん出ている状態は、まさにメタボにまっしぐらな状態といえるでしょう。バゾプレッシンをブロックする最良の方法は水を飲むことである、と研究チームは結論づけています。

ここで得られた「渇きは肥満をつくる」という研究結果はマウスを使ったものですが、実際私たち人間でも同じことが起きる可能性は十分にあります。事実、スウェーデンで行われた31人の健康な成人で試したところ、他の食事は一切変えずに、飲み水だけを0.43リットルから1.35リットルに増加させるだけで血糖値が下がり、バゾプレッシンの値を反映する数値が減少することがわかりました。

このように、水分の十分な摂取はバゾプレッシンを抑制し、肥満やメタボリックシンドロームの予防と治療の両方に効果的である可能性が高いのです。

脂肪は減らし、消費カロリーは維持する

ダイエットをしたいと考えている人は数多くいると思いますが、失敗する人の多くは、減量のために必死に食事制限してもうまくいくのは最初だけで、すぐに体重が減らない停滞期が来て結局リバウンドしてしまいます。このリバウンドの原因は、体の防衛機能にあります。

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【摂取カロリーが減ると消費カロリーも減る】

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