大震災受け物流分散化に動く流通企業、調達力を求め業界再編の加速も


この2大流通の調達・供給力を目の当たりにし、中小スーパーには新たな“連合”を模索する動きが出始めている。全国の地場スーパーが中心に加入するボランタリーチェーン・CGCには震災後、新加入の問い合わせが増えている。加盟グループ合わせて4兆円を超えるという売り上げ規模を背景にした調達力と、グループのPBを求めてだ。震災後の教訓から、流通各社は新体制構築へ動き始めている。

さらに今後、想定されるのは要ともいえる物流機能の分散だ。関東と関西に分散した物流センターを持つユニクロや、全国9カ所の施設を持つしまむらが被災地で早期に営業を再開できたのは、商品仕分けや配送を請け負える代替施設を持っていたため。

これを受け、SPA(衣料品製造小売り)大手のポイントでは震災後、茨城県に2カ所保有している物流センターに加え、中部・関西地区にも物流施設として新たな拠点を借りるなど、物流機能の分散を図る企業がすでに出始めている。

賞味期限がなく店頭在庫を多く持つことができる衣料品に比べ、期限の短い食料品を扱うスーパーやコンビニでは物流の分散の重要度はさらに高い。特にコンビニは独自の物流網を武器に、店頭在庫を少なくし収益性を高めてきたが、今後は店頭在庫を持つ新たな仕組みの構築を模索する動きが出てもおかしくない。

所得の低下など震災が消費に与える影響も懸念されるが、4月に発表された大手流通の今期の業績予想は、セブン&アイ、イオンを筆頭に通期での営業増益を予想している。被害の大きかった東北地方における大手流通各社の売上高は全国比で10%を下回る程度で、震災の直接的な影響が限定的なためだ。

さらに夏場の電力不足への対応でコスト削減が一層進み、各社が想定する増益予想を上回る好業績となるとの見方も出ている。新物流網の構築など新たなインフラの整備には巨額の資金やオペレーション体制が必要になるが、今期の好決算を元手に新たなインフラ構築へ舵を切る流通企業も出始めそうだ。
(週刊東洋経済2011年5月28日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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