大震災受け物流分散化に動く流通企業、調達力を求め業界再編の加速も
大震災からひと月余り経った4月20日、100を超えるテナントが入居するイオン石巻ショッピングセンター(SC)が、ついに全館オープンまでこぎ着けた。震災による設備破損や避難市民の受け入れで、一部休業を余儀なくされていただけに、完全オープン直後の連休中に催されたイベントには、実に1500人もの人が集まった。
同SCの総合スーパー(GMS)部分は、震災から2週間足らずの3月23日に営業を再開していた。当時SC内は一時的な避難所としても利用されており、店舗の空きスペースを利用した仮の売り場での営業再開だった。一見、品薄に見える店頭(左下写真)だが、「すぐ裏には余裕を持って提供できるだけの商品が山のように積んであった」(イオン)と営業にはまったく懸念がなかったという。
1階売り場が浸水したイオン気仙沼店では売り場を屋上と2階へ移し営業を再開。さらに同多賀城店は現時点で唯一閉店したままだが、近隣にあるグループの食品スーパー、マックスバリュへ衣料品や生活用品を持ち込み、GMSとしての機能を持たせ営業を行っている。イオンでは実質的に全店舗で営業を再開、その復興スピードは地元スーパーを圧倒した。
コンビニ業界最大手のセブン−イレブンも業界内では最も早期の再開に成功した企業だ。コンビニのビジネスモデルは通常1日3便という高頻度の商品配送に支えられているが、震災後の交通事情と商品不足で、配送体制の維持が困難になった。そんな中、セブン−イレブンでは3月中にほぼ被災地すべての店舗で1日3便体制が復活していた。