ChatGPTを「使える会社」「全然使えない会社」の差 生成AIを社内で活用するため理解すべきこととは

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社内政治とは「会社のことをよく理解し、敵を作らずに味方を増やし、自分の居場所を確立して最終的に自分のアイデアを実現していく」ものです。決してドロドロした根回しのことだけを指すわけではありません。大規模言語モデルの導入に関わる担当者にとっても、この社内政治は避けて通れません。

養うべきはアイデアを実現するための社内政治力

生成AIの導入には、社内のあらゆるレベルでの調整が求められます。しかし、残念ながら、多くの導入担当者にとって社内政治は後回しにされがちな存在です。人間関係が悪化すると、企画が通らなかったり、予算が承認されなかったりと、どうしても障壁が生じてしまうもの。それが生成AIの導入を阻む壁となりうる以上、ある程度の交通整理は欠かせないのです。

特に生成AIのような高度なAI技術の導入では、「AIの知識を深めることが楽しい」「AIがあれば業務が効率化する」イコール「導入も簡単にできる」と、短絡的に考える人が多く、社内政治の重要性が見落とされがちです。

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なぜ生成AIの導入に社内政治が重要なのか。それは部署間の連携が欠かせないからです。大規模言語モデルの導入においては、法務部と連携して契約や導入後の法律への適合性を確認したり、情報システム部と連携して既存システムとの互換性を確認したり、その他の部署から必要なデータを集めたりと、様々な部門の連携が必要となります。

部署によっては「仕事を奪うもの」と認識されることもあるので、その点もコミュニケーションで解決することが必要です。自社の競争優位性を高めるために生成AIを有効活用していくというスタンスを社内で広げることがなによりも重要となるのです。

さらに、大規模言語モデルの導入を実施する部署と、そのモデルを実際に活用する現場部署との間での調整も重要です。現場の課題を正確に理解し、それを大規模言語モデルの導入に反映させることが求められます。

以上を踏まえると、社内政治は、大規模言語モデルの導入と活用にとって重要なひとつのファクターであると私は考えます。大規模言語モデルの導入担当者は、これを理解し、自分の役割を社内全体で共有し、各部署との連携を深め、自身の立場を確立し、アイデアを実現するための社内政治力を養うべきでしょう。

小澤 健祐(おざけん) AI専門メディア「AINOW」編集長

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おざわ・けんすけ / Kensuke Ozawa

日本最大のAI専門メディア「AINOW」の編集長。ディップ株式会社で生成AI活用推進プロジェクトを進めるほか、AI活用コミュニティ「SHIFT AI」のモデレーターとしても知られる。株式会社Cinematorico/COO、株式会社テックビズ/PRディレクター、株式会社Carnot/事業戦略担当、Cynthialy株式会社/顧問、日本大学次世代社会研究センター/プロボノとしても活躍。

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