ChatGPTを「使える会社」「全然使えない会社」の差 生成AIを社内で活用するため理解すべきこととは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そして最後に、セキュリティ上の課題も無視することはできません。AIツールは大量のデータを扱うため、情報漏洩や不適切な使用のリスクが常に存在します。これらのリスクに対処するためには、厳格なデータ管理とアクセス制御が必要です。

これらの課題を解決するひとつの方法は、先に述べたように特化型生成AI(部分最適)と汎用型生成AI(全体最適)のアプローチを適切に使い分けることです。

特化型生成AI(部分最適)では、各部署で運用されているシステムと生成AIのAPIを連携させ、人間が直接プロンプトを入力しなくても、API経由で自動的に情報が生成AIにインプットされる状況を作り出すことが大切です。これにより、各部署は特定のタスクを自動化し、より高度な業務に人間のリソースを集中させることが可能になります。

一方、汎用型生成AI(全体最適)は、全社員が「要約」「報告書作成」「メールレスポンス」などの汎用的なテキスト業務を効率化できるように、ChatGPTなどの生成AIツールを社内で広く利用できる状況を作ることを目指します。このためには、コミュニケーションツール「Slack」などと生成AIを連携させるなど、全社員が生成AIに、より簡単に、より素早くアクセスできる環境を整えることが必要となります。

私は、生成AIの真の力は、API連携を通じて発揮されると考えます。メールと生成AIを連携させるとしても、API連携がなければ、メール着信時に人間が情報を手動で入力し続ける必要があり、これは意味がありません。しかしAPIが連携されていれば、メールの内容をAIに自動的に伝え、AIが適切な応答を生成できるようになるでしょう。これにより、AIの力を最大限に引き出し、生産性を向上させることが可能となります。部分最適でも全体最適でも、EXの向上を第一に考え、インターフェースを整えることが重要なのです。

生成AI導入に必要な社内政治

生成AIの導入や活用を実現するためには、単に技術を採用するだけでなく、社内の様々な部署やステークホルダーとの協力が必要不可欠です。これを成し遂げるためには、自社内での「社内政治」の理解と活用が必要となります。

「社内政治」という言葉に対する反応は人それぞれでしょう。一部の人々は「我々の企業はオープンであり、社内政治は不要だ」と考えるかもしれません。しかし、企業は多様な業種、職種、ポジションの人々から成り立ち、そのなかで様々な思惑や圧力が交錯しています。そのため、社内政治を無視するのは実際には危険だと私は考えます。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事