中国BYD「ドルフィン」はオススメできる車なのか 実質200万円台~コンパクトBEVの実力を検証

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日本には2モデルが導入される。単に「ドルフィン」と称される標準モデルと、「ドルフィン・ロングレンジ」で、航続距離はそれぞれ400kmと476km。

東京で行われた記者発表会でドルフィンを紹介する東福寺代表取締役社長(写真:BYD Auto Japan)
東京で行われた記者発表会でドルフィンを紹介する東福寺代表取締役社長(写真:BYD Auto Japan)

モーターの最高出力/最大トルクは、標準モデル70kW/180Nm、ロングレンジが150kW/310Nmで、ロングレンジにはハイパワー版という位置付けもある。

バッテリー形式はリン酸鉄リチウムイオン電池を使い、独自のブレード形状にまとめたもの。薄くて軽量が、セリングポイントだ。

「90kW(200A)の高速充電器を使った場合、バッテリーの温度管理システムがしっかり働いてくれるため、1時間の充電で標準モデルは68kWh、ロングレンジは80kWh入るし、30分の充電でも30kWh入るのが日本でも実証ずみです」

BYD Auto Japanの技術担当者は上記のように証言する。やっぱり実際に所有するとなると、充電時間はもっとも気になるポイントだろう。

扱いやすいサイズと加速感

ドルフィンは、ハッチバックとSUVの中間的な車型でありつつ、全高は1550mm。

実は、本来の全高は1570mmなのだが、日本向けはシャークフィンアンテナの形状を変更して立体駐車場に入る1550mmに抑えているのだ。ここまでして日本市場での販促を狙うのは、“メーカーの本気度”とみていいだろう。

ホイールベースは2700mmもあり、後席スペースも広々感がある(筆者撮影)
ホイールベースは2700mmもあり、後席スペースも広々感がある(筆者撮影)

中国では、先ごろBEV購入時の補助金がカットされ、BEVの売れ行きが大幅に落ちているとか。BEV開発の投資を、海外市場から回収する必要に迫られているのかもしれない……ということはさておきドルフィン、いいクルマであります。

ボディサイズは全長4290mm×全幅1770mm×全高1550mm。日産のシリーズハイブリッドのクロスオーバー「キックス」(全長4290mm×全幅1760mm×全高1605mm)が、ディメンション的に近い。

輸入車では、ルノーのハイブリッドSUV「キャプチャー」(全長4230mm×全幅1795mm×全高1590mm)、ボルボのピュアEV「EX30」(全長4235mm×全幅1835mm×1550mm)あたりが近いだろう。

独自の「E-TECH」ハイブリッドを搭載するキャプチャー(写真:ルノー・ジャポン)
独自の「E-TECH」ハイブリッドを搭載するキャプチャー(写真:ルノー・ジャポン)

真っ正面からぶつかるBEVの競合は……強いていえば、最高出力150kW/最大トルク310Nmのモーターを全長4455mmのボディに収めたBYD ATTO 3かもしれない。

ドルフィンのサイズ感は、日本の路上によく合っている。それにモーターのトルクをうまく使い、キビキビとした加速感が味わえる。とはいえ、決して暴力的な加速ではなく、扱いやすい。

アクセルペダルを踏み込んだときのレスポンスも丁寧で、ドライバーが望んだ分の加速力が手に入る、という印象だ。

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