中国BYD「ドルフィン」はオススメできる車なのか 実質200万円台~コンパクトBEVの実力を検証

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私が乗ったのはロングレンジ版で、標準モデルとはリアサスペンションの形式が異なる。トーショナルビームによる半独立式に対して、ロングレンジはマルチリンクを使った独立式となるのだ。

トーショナルビームは(ご存じのように)フォルクスワーゲンからトヨタにいたるまで、世界中のクルマでよく見られる形式だ。乗り心地、重量、コストなど、さまざまな面でメリットがある(ただし、全輪駆動方式だと使えない)。

グレードによりリヤサスペンションを変えるのはよくある手法。写真はトーションビームとなる標準モデル(写真:BYD Auto Japan)
グレードによりリヤサスペンションを変えるのはよくある手法。写真はトーショナルビームとなる標準モデル(写真:BYD Auto Japan)

マルチリンクは路面追従性などがよく、乗り心地にも利く。実際、こちらを採用するロングレンジの足回りは、とてもうまく設定されていた。高速では安定しているし、高速での車線変更も不安感がない。一方で硬さは感じられず、凹凸もうまくいなす。

ドライバーの頭部が不用意にユラユラ揺れることもなく、日本の制限速度ならほとんど騒音も感じさせず、アクセルペダルの踏み込み量に応じてスルスル〜と加速していくのが気持ちよい。

そういえば、ドイツのアウトバーンでも結構BYDを見かけた。アウトバーンでは、急速充電器が日本以上によく整備されていることもあるのだろう。加えて、テスラほどのブランドバリューはなくても、「価格と性能と装備を考えるとこれでよい」とするオーナーが少なくないことも考えられる。

注目はインテリアと充実の安全装備

日本導入モデルを見ると、デザインでも装備でも独自性がしっかりあり、十分にブランドバリューが生まれる余地があると思う。

1つは、豊富な内外装色の設定。特に感心したのは、3色あるインテリアカラーそれぞれで、スイッチ類までちゃんと色合わせがされていることだ。外板色に関係なく“すべて黒でいいや”なんて発想をしていない。

合成樹脂の部品もカラーキー(色合わせ)されるなど凝ったつくり。ピンクの内装はけっこうウケるのではないだろうか(筆者撮影)
合成樹脂の部品もカラーキー(色合わせ)されるなど凝ったつくり。ピンクの内装はけっこうウケるのではないだろうか(筆者撮影)

私がおもしろいと思ったのは、ピンク色の外板色と組み合わされるグレーとピンクの内装だ。キラキラしている。こういうクルマ、ほかにはなかなかない。年齢によってはやや恥ずかしいかもしれないが、いやいやどうして、特別感があって楽しい。

シートは一見するとレザーに見えるが、「ビーガンレザー」という合成皮革。動物福祉の観点から「レザー不使用」が取り沙汰される、欧米の高級車市場の動向を視野に入れているのだろう。

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