「ディズニーとHulu」異例の競合セット売りのなぜ 2カ月経った成果は?今後の取り組みも聞く
一方で気になるのは、なぜこのタイミングなのか、という点だ。世界市場をみると、巣ごもり需要が徐々になくなりつつあった2021年からNetflixの会員数が減少し始めた。特定エリアの特殊事情があった影響とされているが、今年1〜3月では、ディズニープラスの会員数も減少している。
配信サービスが遅れて立ち上がった日本市場自体は、まだ伸びしろがあるものの、U-NEXTとParaviの統合に続くメジャー2サービスのセット販売という今年の大きな動きからは、日本市場の来るべき戦国時代を見据えた先手のようにも見える。
であれば、ディズニープラスとHuluの連携は、今回がまず第一弾であり、この先にアメリカでの統合のような提携の強化が進むことも予想される。
しかし、これについて両氏は明確に否定する。小林氏は「今回のセットプランは、2022年3月の日本テレビとの戦略的協業の一環で実現しました。SVODサービス(定額制の動画配信サービス)の日本の世帯加入率は50%以下。いまも市場自体が成長期であり、まだまだSVODの伸びしろがあります。OTT(ネット回線を通じて提供されるサービス)ビジネスはいつ何が起こるかわからない状況ではありますが、いまのところ日本ではセットプラン以上の予定はありません」と語る。
生き残りをかけた椅子取り争いも?
そうであれば、この先市場が飽和した時期には、ユーザーの取捨選択がはじまり、セット販売をする両サービスの間でも生き残りをかけた椅子取り合戦がはじまることも考えられる。これに対して髙谷氏は、業界全体を見据えた考えを示す。
「もしサービスの統合が進み、多様なプラットフォームが収斂されていくと、市場にサービスや価格の競争がなくなります。それはユーザーや権利者の皆さまの便益にならない。一定の競合のなかで切磋琢磨するほうが市場にとって好ましいと考えます。
セット販売をしていても単体同士の競合はもちろんあります。それが双方のボトルネックになるわけではありませんし、むしろそれがあるからこそクオリティーが上がっていく。そしてそれはセットプランにもシナジー効果を生み、お互いがよりよくなっていくはずです」(髙谷氏)
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