「ディズニーとHulu」異例の競合セット売りのなぜ 2カ月経った成果は?今後の取り組みも聞く
日本の動画配信市場はまさに群雄割拠という状態だ。各サービスの会員数は非公表だが、IRリリースやさまざまな調査データからは、市場シェアおよび会員数はAmazonプライム、NetflixがTOP2となり、Huluとディズニープラスがそのあとに続く3〜4位のポジションにある。
そんなHuluとディズニープラスの連携には、市場の勢力図を動かす大きなインパクトがある。アメリカではHuluの株主であるディズニーが今年中に両サービスを統合することを発表しているなかで、それぞれの日本法人は両サービスがセットで割引になるバンドル販売をスタートした。
異業種サービスとのバンドル販売はこれまでにも一般的に行われているが、同業者で競合のセットを販売するのは、世界的にも稀なケースだ。
今回の取り組みの背景には、日本運営会社同士の近しい関係性があった。
Huluは2014年に日本市場向け事業を日本テレビに事業譲渡した。一方で日本テレビとディズニーはかねて放送やイベントで協業を行っており、2022年3月には世界市場に向けたコンテンツ共同制作などを目的にした戦略的協業を締結した。
そうした関係がある両社は、双方のサービスの補完と強化を主目的にした連携を1年以上模索し、バンドル販売を開始するに至った。
スタートから2カ月経った成果
これまでHuluとディズニープラスの両方に加入したい利用者は、それぞれ申し込むと、月額で合計2016円(税込)支払う必要があった。一方で、セットプランを利用すると、月額で1490円(同)と、約26%お得になる。今年7月から開始し、終了期間は未定としている。
スタートから2カ月を経た成果を聞くと、小林氏は「配信サービスに入ろうかと迷っていた方や、どちらかのサービス会員の方で、価格的にお得なのでセットで両方に入る、という方が一定数おり、新規の会員が増えています。お互いのコンテンツに重複がないので、コンテンツを多くご覧になる方が入られたことで、視聴時間が増えている傾向があります」と語る。
また、髙谷氏は「セット販売後の会員数の伸びで明確に結果が現れています。興味深いのは、ファミリー向けコンテンツの視聴数が急激に伸びたこと。また、解約率も低い傾向がデータから見えており、まだ2カ月ですが事業効果が長く効いてくることを確信しています」と話した。具体的な増加会員数や視聴時間は非公表とのことだが、双方にとってプラスの影響が現れていることがわかる。
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