「ディズニーとHulu」異例の競合セット売りのなぜ 2カ月経った成果は?今後の取り組みも聞く

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ではHuluと、ディズニープラスは、日本市場における現在地とこの先をどう捉えているのだろうか。

髙谷氏はポジティブに市場を分析しながらも、課題も掲げる。

「各サービスはまだ会員数を伸ばし続けており、市場が飽和している実感はありません。レイトマジョリティーや年齢が高い層の方々にも受け入れられつつあるので、余白はまだあります。

ただ日本はアメリカの成長をベンチマークにして配信を普及している面はありますが、無料コンテンツの視聴カルチャーも根強いので、アメリカの市場のように天井近くまでいますぐに伸びるかはまた別問題と冷静に見ています。しかしそのなかでSVODがこれから先もシェアを拡大していく流れは続くでしょう。

一方、TikTokのようなテクノロジーの恩恵を受けた新しいサービスの視聴体験は、これから先も生まれてくる。若い世代の未来のお客様にSVODを使ってもらうためにどうしたらいいかは、どこまでも成長したいからこその課題としてあります」(髙谷氏)

これからのコンテンツの可能性

一方、小林氏は後発で成長を続ける真っ只中であることを強調し、具体的なコンテンツの伸びしろについても言及する。

「ディズニープラスは後発であり、まだまだ成長期にあります。日本はOTTサービスの成長の余地があり、切磋琢磨して各サービスが伸びていける環境です。オーガニックグロースは順調であり、現状の路線でこの先もしっかり成長していける段階です。

市場が飽和する時期を心配したり、想定して準備するフェーズではない。たとえば、いまはスポーツや音楽など配信に適したライブコンテンツがデジタルの世界に揃ってきている段階です。ユーザーのニーズに合わせて、コンテンツ視点でもまだまだ開拓余地が多くあります」(小林氏)

まだ成長期であっても、成長が止まるタイミングは必ず訪れる。次のフェーズは、各サービスによるシェアの激しい奪い合いになるのか、統廃合が進むのか、あるいは、ポータル化という拡大路線も考えられる。それぞれの事業として5年後、10年後の姿をどう想定しているのだろうか。

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