「中2で学校を辞めた男性」が編集長になるまで 「不登校の子」が集まるフリースクールという場

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:『学校に行きたくない君へ』(ポプラ社)で「大人になってからも、たくさん失敗する」と石井さんが書かれていたのが素敵だと思いました。苦しい思いをしているときは、「自分なんて……」と、どうしても劣等感を抱いてしまいます。しかし、実際には大人になってからでも失敗はたくさんします。「それでも、大丈夫。それでもいい」と石井さんが言ってくれているように思いました。

石井:伝わりづらいかもしれませんが、今日も収録の時間を忘れていて、代さんからの電話を受けてようやく気がつきました。いただいていたメールがどこにいったかもわからなくなって、本当にバタバタしていました。日々、現在進行形で失敗しています(笑)。

不登校のまま生きていてもいい

石井:『不登校新聞』は、名前から「学校に行けるようになるための新聞」だと勘違いされることが多いですが、そういうことは一切していません。学校に行かない人、あるいは学校に行かない人の親が読んで「不登校のまま生きていてもいい」と思ってもらえるように、不登校中の生活をより良くするような、共感にあふれた新聞作りを目指しています。そして、学校で苦しんでいる人が安心できる社会をどうしたら作れるかを考えながら作っています。

9月1日の君へー明日を迎えるためのメッセージ
『9月1日の君へー明日を迎えるためのメッセージ』(教育評論社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

著名人の方にも出ていただいています。不登校経験者が多いですが、不登校になっていない方にも、不登校当事者の取材を受けて答えていただいたりしています。完全にノーギャラです。

不登校経験者ではない中で取材を受けてくださった方には、辻村深月さんや坂上忍さんがいらっしゃいます。取材中、不登校している子が「坂上さんのような大人になりたい」と言ったのを聞いて、私も驚きましたが、坂上さん自身はもっと驚いていて「え、俺に? 俺はやめたほうがいいよ!」とおっしゃっていました(笑)。不登校経験者で言えば、中川翔子さんや俳優・モデルのゆうたろうさんなどに出ていただいています。

:2023年の今年は、「不登校動画選手権」を開催されたそうですね。『不登校新聞』の活動や『学校に行きたくない君へ』には、きっとヒントになる何かがあると思います。身の回りには同じような経験をした人や共感してくれる人はいないかもしれないけど、範囲を広げてみると実はいる、ひとりぼっちじゃないんだということを実感していただけたらなと思います。

石井 しこう 『不登校新聞』代表

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いしい しこう / Shikou Ishii

1982年、東京都生まれ。中学2年生から不登校となりフリースクールに通う。19歳から不登校の専門紙『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。2020年からは、代表理事も務める。これまで不登校の子どもや若者、識者ら400人以上に取材。「あさイチ」「逆転人生」(NHK)、「news zero」(日本テレビ)、「報道特集」(TBS)などメディア出演も多数。

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代 麻理子 ライター・編集

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だい まりこ / Mariko Dai

1985年、神奈川県川崎市生まれ。YouTube『未来に残したい授業』チャンネル主宰。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。法律事務所での秘書勤務ののち、専業主婦を経てライターとして活動。現在、高等教育を望むすべての人に届けられるよう奮闘中。小・中学生の3児の母。現在、YouTube『未来に残したい授業』チャンネルのほか、フリーランスとして書籍の企画・編集、公立小学校での放課後寺小屋指導員、東京中延にある「隣町珈琲」の「街場の大学」イベントなどで活動中。

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