水産業者、値崩れ恐れ在庫積み上がる苦しい実態 中国が水産物禁輸でも、国内向け販売は様子見

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釧路市の担当者に話を聞いた。

「令和4年、5年の2カ年の補助事業で、いまは陸上養殖で育つかどうか実証実験の段階です。成功すれば原魚の確保により水産加工業の経営の安定化をもたらします。海面漁業と陸上養殖の2本立てが実現すれば、まちの活性化にもつながるものと考えています」(釧路市産業振興部産業推進室)

ふるさと納税に活路

豊漁のブリをブランド化し、ふるさと納税の新商品開発を行う。そんな取り組みも始まっている。舞台は釧路市に隣接する白糠町だ。ふるさと納税で4年連続、受け入れ寄付金実績全国4位(町村1位)の実績を誇る自治体だ。

9月13日、一昨年から白糠町と手を携え、ふるさと納税のデータ分析や新商品開発に取り組んできた東京のイミューの新工場が完成し、落成式が行われた。式には棚野孝夫町長も参加し祝辞を述べていた。

この工場で生産するのは白糠町の新たな返礼品。船上で活き締めした7キロ以上のブリを「極寒ブリ」として商標登録し、「ブリしゃぶ」として提供する。工場には最新鋭の急速冷凍機を設置し、ブリしゃぶをワンフローズン(1回冷凍)で寄付者に届けることを可能にした。

すでにふるさと納税のサイトには「天然極寒ぶり ブリしゃぶセット400グラム」(寄付金額2万4000円)として出品されている。初年度の生産予定は3000セット。このほか「漬け」「ブリかま」も取り扱い、初年度のブリの取扱量は約4トンになる見込みだという。

白糠町 ふるさと納税 極寒ぶり
ブリしゃぶの試食会の様子(筆者撮影)

釧路市のシロザケの陸上養殖、白糠町のブリを活用したふるさと納税返礼品と、いずれも地元自治体と道外の業者が提携している点が共通している。外部のアイデア、実行力を取り入れながら地域活性化に結び付けていく。

獲る漁業から育てる漁業、新たな技術を導入した加工品で勝負する水産業。スタートしたばかりのこれらの事業はまだ規模は小さいが、こうした事業者に続く動きがどんどん出てくれば、北海道の漁業・水産業に大きな変革をもたらすかもしれない。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログでは、最新の病状などを掲載中。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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