水産業者、値崩れ恐れ在庫積み上がる苦しい実態 中国が水産物禁輸でも、国内向け販売は様子見

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秋サケはどんな状況だろうか。北海道連合海区漁業調整委員会調べの「令和5年 秋さけ沿岸漁獲速報」によると、最新の9月10日時点では、総計が約101万尾で前年同期比27.8%減、金額は約27億2000万円で同35%減となっている。秋サケ漁は遅いところで12月中旬まで続くが、巻き返しはあるだろうか。

現状を把握すべく、9月中旬、道東の漁港から秋サケ(アキアジ)の定置網漁に向かう漁船に同行した。波に揺れる漁船で海の男たちが定置網を手繰り上げる。やがてバシャバシャと水しぶきを上げた魚の群れが引き上げられた。ブリ、ブリ、ブリ。秋サケはほんの少ししか見当たらない。ウミガメまで上がった。

4地点の定置網を引き上げてこの日の漁は終了。ブリは今シーズン最高の4トン超。一方、秋サケはわずか200キログラム。ブリがサケの20倍以上。これが北の海の現実だ。

「豊漁」の基準が下がった

どうも今年も秋サケはあまり期待できそうにない。そもそも昨年が豊漁だったというが、昨年の漁獲量は8万3800トン。それまで3年連続で5万トン台だったから「豊漁」と大騒ぎされたのだが、過去には23万トンという年もあった。5万トン台といえば10年前と比べても半分ほどの水準になっているのだ。

そんな環境の変化に対応すべく、新たな動きが始まっている。ひとつは釧路市で行われているシロザケの陸上養殖だ。事業に取り組んでいるのは、不動産事業や水質浄化を手掛ける滋賀県のウイルステージ。これまでにトラフグなどの陸上養殖の実績がある。

釧路市内の日本製紙工場跡地で4月からサケの稚魚約800匹の養殖を倉庫内の大型水槽で始めた。来年春にはふるさと納税の返礼品などでの活用を考えているという。総事業費は4193万円で、約2800万円は釧路市の補助金だ。

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