2015年2月、フランスとドイツの仲介のもと停戦合意(ミンスク2)が結ばれますが、その後も散発的な戦闘がつづきます。2019年2月、ウクライナは憲法を改正し、将来的なNATO加盟の方針を決めました。その後に大統領に就任したゼレンスキーもこの方針を引き継ぎました。
ロシアがもっとも恐れているのは、このウクライナのNATO加盟です。
そもそも冷戦終結後、東西陣営間で「NATOは東方に拡大しない」という約束があったとされ、それを反故にされているというのがプーチンの主張です。
独立後のウクライナは、NATOに対して「中立」の立場をとってきましたが、2004年のオレンジ革命で発足したウクライナの親欧米政権のときからNATOやEUへの接近がはじまりました。親欧米政権のウクライナがNATOに加盟すると、ロシアの首都モスクワに向けたミサイル攻撃システムがウクライナ東部に配置される可能性があります。ロシアの安全保障が一気に脅かされることになります。
ヨーロッパの国々が強硬にでられない理由
2021年春以降、ロシアはウクライナとの国境付近に大軍を集結させ、西側ににらみをきかせました。一方、欧米諸国はロシアに経済制裁をかけ、ロシアの軍事行動を自重させようとしました。
しかし、ヨーロッパの国々はそれほど強硬にでられません。ロシアにエネルギーを依存しているからです。
アメリカは「ロシアのウクライナ侵攻がはじまる」とウクライナ危機をあおりましたが、この時点では、深刻なエネルギー不足の問題を抱えるドイツをはじめとするEU諸国はロシアとの関係悪化を望んでおらず、足並みはそろいませんでした。その意味では、エネルギーを依存させるロシアの地経学的戦略は効果を発揮していました。
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