いまだ続くウクライナ侵攻、対ロシア制裁の抜け穴 期待された効果を発揮しているとはいえぬ理由

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プーチンは、ウクライナにNATO加盟断念の意思がないとみて、ウクライナ侵攻に踏み切ります。

ウクライナはNATO加盟国ではないので、アメリカやイギリスは軍事介入しませんが、かといって停戦の仲介もしません。ウクライナに武器弾薬を送って戦争を継続させます。

アメリカ、イギリスはオフショアから戦略をコントロールし、ウクライナとロシアを戦わせて、ロシアの弱体化、もっというとプーチン政権の転覆をねらいます。ウクライナ戦争は、「ウクライナを利用したアメリカ、イギリスとロシアの代理戦争」というのが実態といえます。

ロシアに痛手のはずが、ドイツやEU諸国にダメージ

ウクライナ侵攻後、西側諸国からロシアへの厳しい経済制裁が科されました。

対ロシア制裁のうち最初の重要な動きは、ドイツが「ノルドストリーム2」のプロジェクト承認を停止したことです。ノルドストリーム1は、従来のウクライナ経由のガスパイプラインにかわり、ウクライナを迂回してバルト海経由でドイツへつなぐパイプラインで、これとほぼ同じコースをとる新しいパイプラインがノルドストリーム2です。

天然ガス供給の拡大を見込んでいたロシアには痛手となるはずでした。ところが、これはどちらかというとエネルギー不足に悩むドイツやEU諸国にダメージとなったといえます。

ロシアは中国向けのガスパイプライン「シベリアの力」を開通させるほか、インドなどにも輸出を拡大させています。供給先には困っていません。原油についても、中国やインドに輸出しています。ロシアの原油生産量は、ウクライナ侵攻前と比べてやや減少に転じたものの、大きくは変わっていません。

次に金融制裁を見てみましょう。

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