「生産性伸ばせない中小企業」2つの大きな問題点 課題が多い中、社長はどうマネジメントする?

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一方、こうしたところで話題となる経営課題やその解決策は、一時的な流行だったり、比較的多くの企業が悩むことを取り上げたりする場合がほとんどです。もしくは、社長本人の生活スタイルや行動パターンから得られたかたよった情報の可能性もあります。

「同業者の多くが取り入れている」「○○に取り組んで大きく業績を伸ばした」と聞くと、「自社もやらないと乗り遅れてしまう」と焦って即取り入れてしまう中小企業の社長も多いものです。

このような経緯で取り組みをスタートした経営課題が、自社にとって最善かつ早急に取り組むべき課題かというと、そうではない場合のほうが多いのです。

次々にあらわれる課題に対応できない

また、このようにして中小企業の社長が課題へ対処する場合、解決後の目標やゴール、目的を定めずに取り組む場合が大半です。そのため中途半端で終わってしまうか、一時的な成果しか得られないというケースが圧倒的に多くなってしまいます。

さらにこのような課題解決の進め方では、1つの課題をクリアしてもまた次の課題、そしてまた次……といった具合にさまざまな経営課題に1つずつ対処していかなければなりません。

しかも、退治しそこなうもぐらもたくさん出るので、数匹のもぐら(課題)を撃退できたとしても、戦果(成果)は限定的です。多くのもぐらを撃退することができても疲れ果ててしまう、あるいは実際の経営課題はもぐらたたきのように単純ではなく、複雑で難しいので途中であきらめてしまう社長もいます。その結果、生産性が下がり続け、人材は離れてしまう……。

これが「”もぐらたたきゲーム”に興じている」中小企業の実態です。
こうした状況に陥らないためには、社長が経営課題を決めるのではなく、リーダーが主体的に課題を発見し「戦略」を通じて部下をマネジメントしながら解決していく必要があります。

ここで、「戦略とは何か」について明らかにしておきましょう。

「戦略」とは、”目標を達成するための打ち手”です。

「目標」とは、自社が達成すべき将来の業績数値のことを指します。したがって、「戦略」のゴールは将来の数値目標の達成ということになります。業績数値目標は、理念やビジョンの実現に向けて、組織が成長するために必要な売上や利益などを明確にしたものです。

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