夏から秋の変わり目で「体調が崩れる人」の特徴 自律神経と基礎代謝、体の中で何が起こっている?

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ポリヴェーガル理論という新しい自律神経の捉え方では、人との交流が減り、感情が動く機会が少ないと、自律神経の一種である腹側迷走神経の働きが落ちてしまうともいわれます。

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季節の変わり目の梅雨の時期は、出歩く機会や人との約束が減ってしまうことで、副交感神経がうまく働かないということもまた、体調に影響を与えていると考えられます。

ここからは余談ですが、基礎代謝や自律神経の働きによって、食欲も影響を受けています。

秋から冬にかけて、体は交感神経の働きで心臓の動きを早め基礎代謝を高めているので、エネルギーのもととなる食べ物をたくさん必要とします。

だから「食欲の秋」は必然であって、おいしいものがたくさんある味覚の秋に食べるのを我慢するなんて、本当はしないほうがいいのです。

冬はたくさん食べても太りにくい

さらにいうと、基礎代謝の低い夏の間はさっぱりとカロリーの低い食べ物を好みますが、秋から冬はカロリーの高いものが食べたくなります。

たとえば、夏の冷やしうどんは、大根おろしにすだちを利かせてさっぱりいただくのに対し、冬は鍋焼きうどんのように味付けも濃いめでたくさんの具材が欲しくなります。

体のメカニズムから考えれば、冬は夏に比べてカロリーの高いものを食べても基礎代謝が高いので太りにくいといえます。頭で考えるより、本能に従ったほうが健康でいられそうですね。

小林 弘幸 順天堂大学医学部教授、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

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こばやし ひろゆき / Hiroyuki Kobayashi

1960年、埼玉県生まれ。87年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任する。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。『医者が考案した「長生きみそ汁」』、『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム刊)などの著書のほか、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)や「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBSテレビ)などメディア出演も多数。

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小越 久美 気象予報士、健康気象アドバイザー

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おこし くみ / kumi Okoshi

1978年、岐阜県下呂市生まれ。筑波大学第一学群自然学類地球科学専攻(気候学・気象学分野)卒業。2004年から2013年まで日本テレビ「日テレNEWS24」にて気象キャスターを務める。その傍ら、民間の気象予報会社(株)ライフビジネスウェザーに所属し、健康気象アドバイザー・データ解析士の資格を取得。スーパーマーケットの売上予測の開発にも携わる。現在は(一財)日本気象協会に所属し、気象データとAIを活用した商品の需要予測事業に携わり、アパレルや飲料メーカーなどへのコンサルティングを行う。著書『かき氷前線予報します~お天気お姉さんのマーケティング~』(経済法令研究会)。

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