中国「政府職員のiPhone禁止」のドデカい衝撃 アップルは過熱する米中対立の板挟み
香港浸会大学のジャン・ピエール・カベスタン名誉教授も同様の評価を下している。「これは報復措置だろう」。アメリカが各国政府に対し自国の通信インフラにファーウェイ機器を導入しないよう働きかけたり、アメリカの一部の州が政府職員に対しソーシャルメディアアプリ「TikTok」の使用を制限したりしていることへの仕返しというわけだ。
アメリカ政府は連邦政府機関に、ファーウェイをはじめとする中国メーカーからの通信設備機器の調達を禁じている。
カベスタン氏は、中国のiPhone禁止措置は政府職員を対象としたセキュリティ対策であり、アップル製品の中国販売をくじくことを狙った広範な取り組みではなさそうだ、と述べた。
多くを失うアップル
それでも、アメリカと中国という超大国間の緊張の高まりで、アップルほど多くを失うアメリカ企業はほとんどない。中国は世界最大のスマートフォン市場であり、アップルの売り上げの約5分の1を占めている。アップルは中国でのiPhone販売台数を公表していない。
さらに言えば、アップルは中国の製造技術に立脚したビジネスモデルを開拓することで最も価値あるテクノロジー企業になった。世界中で販売されるiPhoneの大部分は、中国の膨大な労働力によって安く組み立てられている。
中国当局のiPhone規制が強まれば、アップルの今年の売り上げは抑制される可能性があるということだ。
アップルはコメントの求めに応じず、最近の報道について公式に何も語っていない。
iPhoneは長いこと、中国の起業家のステータスシンボルで、とくに都市部の消費者の間で高い人気を誇ってきた。それとは対照的に、政府職員は公の場でファーウェイの携帯電話を見せびらかすよう心がけてきた。
中国の中央政府職員の一部は、iPhoneの使用を止めるよう命じられたと話す。外国ブランドの携帯電話の使用をやめて中国製を使うようにという、それよりは曖昧な指示があったという関係者もいる。