中国「政府職員のiPhone禁止」のドデカい衝撃 アップルは過熱する米中対立の板挟み

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中国の政府職員の大部分を占める地方政府職員の中には、使用禁止の通達があったことを否定する者もいる。政府職員はこれまでにもアップル製品の使用を制限する取り組みの対象となってきた。

アメリカ国家安全保障局の契約職員だったエドワード・スノーデン氏がアメリカによる世界的な監視活動を2013年に暴露してからは、そうした取り組みがとくに強化されている。

iPhoneに迫るファーウェイの新型スマホ

アメリカも中国も、消費者向けエレクトロニクス製品をめぐる地政学的な争いで失うものは大きい。

アメリカでファーウェイやシャオミといった中国ブランドを見かけるのよりも、中国でアップル製品を見かけることのほうが多い。しかし、アップルをはじめとするメーカーの多くは製造の大部分を中国に移しているため、スマートフォンはアメリカの対中貿易における最大の赤字分野のひとつとなっている。

iPhone使用禁止の警告は、ファーウェイがiPhoneのライバルと目される高品質カメラ搭載のスマートフォンを発表した直後に発出された。ファーウェイのスマートフォン「Mate 60 Pro」は、中国への輸出規制措置がとられているアメリカの技術を用いたコンピューターチップの使用をめぐり、アメリカ政府の調査対象となっている。ファーウェイは、このスマートフォンを独自開発製品として発表した。

アメリカのジーナ・レモンド商務長官は8月に北京と上海を訪問した際、中国政府関係者にアメリカは中国に対して新たに課したハイテク輸出規制を緩めるつもりはないと伝えていた。

中国の通信分野の専門家で、現在は投資コンサルティング会社BDAチャイナの会長を務めるダンカン・クラーク氏は、中国側のiPhone禁止措置は、地政学的な摩擦が強まれば「アメリカが何を失うことになるかを思い出させるために、事を大きくする試みだ」という見方を示した。

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